- 行政法総論|肢別式ドリル②の進め方
- 【第72問】行政法の「信義則」(行政の自己拘束)
- 【第73問】行政法の「平等原則」と行政裁量(行政の公平性)
- 【第74問】行政法の「法治主義」と「法律の留保」
- 【第75問】行政法の「比例原則」と処分の過剰性(必要最小限度の原則)
- 【第76問】行政法の「裁量収縮」と判例法理(環境・都市計画分野)
- 【第77問】行政法の「明確性の原則」(不明確な規制の違法性)
- 【第78問】行政法の「信頼保護原則」(撤回の制限)
- 【第79問】行政行為の「撤回」と「取消し」(効果の違い)
- 【第80問】行政法の「公定力」と「不可争力」(行政行為の安定性)
- 【第81問】行政手続法の目的(公正の確保・透明性の向上)
- 【第82問】行政指導の限界(不利益取扱いの禁止・文書明確化義務)
- 【第83問】行政行為の撤回(信頼保護原則・公益との比較衡量)
- 【第84問】行政処分の定義(行政手続法2条4号)
- 【第85問】行政処分の要件(処分性:法的効果の有無)
- 【第86問】行政処分の通知(行政手続法15条:到達主義)
- 【第87問】行政処分の理由提示(理由の明確性・具体性)
- 【第88問】聴聞手続の内容(行政手続法13条〜15条)
- 【第89問】弁明の機会付与(行政手続法15条:聴聞との違い)
- 【第90問】行政手続法の適用除外(行政手続法2条・3条)
- 【第91問】申請に対する処分(行政手続法5条〜7条:申請拒否の理由提示)
- 【第92問】審査基準・処分基準・行政指導指針(行政手続法5条〜7条・12条)
- 【第93問】標準処理期間(行政手続法7条:申請処理の迅速性)
- 【第94問】行政指導の方式(行政手続法33条:文書明示義務)
- 【第95問】行政指導の不利益取扱い禁止(行政手続法36条)
- 【第96問】行政指導の中止要求(行政手続法35条)
- 【第97問】行政指導の一般原則(行政手続法32条:任意性・目的明確性)
- 【第98問】審査基準の設定義務(行政手続法6条:申請処分の透明性)
- 【第99問】処分基準の設定義務(行政手続法12条:不利益処分の量定基準)
- 【第100問】原告適格の拡張(法律上の利益:環境・景観利益)
- 【第101問】取消訴訟の訴えの利益(処分の現存性・回復可能性)
- 【第102問】取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条:処分庁主義)
- 【第103問】処分性(行政事件訴訟法3条:法的効果の有無)
- 【第104問】行政指導の処分性(行政指導は原則として処分性なし)
- 【第105問】行政庁の内部行為の処分性(内部文書・通達・決裁)
- 【第106問】通知・催告の処分性(行政事件訴訟法3条:法的効果の有無)
- 【第107問】行政契約の処分性(行政契約は原則として処分性なし)
- 【第108問】行政計画の処分性(都市計画決定などは原則として処分性なし)
- 【第109問】行政指導と処分性の境界(事実上の強制がある場合)
- 【第110問】行政行為の附款の処分性(負担の独立取消性)
- 【第111問】行政行為の撤回と取消(瑕疵ある行政行為の扱い)
- 【第112問】無効確認訴訟(行政事件訴訟法36条:重大かつ明白な瑕疵)
- 【第113問】義務付け訴訟(行政事件訴訟法37条の2:処分を求める訴訟)
- 【第114問】差止訴訟の要件(行政事件訴訟法37条の4:重大な損害のおそれ)
- 【第115問】仮の義務付け・仮の差止め(行政事件訴訟法37条の5・37条の6)
- 【第116問】執行停止(行政事件訴訟法25条:回復困難な損害)
- 【第117問】取消訴訟の訴えの利益(現在の法律上の利益)
- 【第118問】原告適格(法律上の利益:環境利益・景観利益)
- 【第119問】処分性の判断基準(法的効果の有無)
- 【第120問】不作為の違法確認訴訟(行政事件訴訟法3条6号)
- 【第121問】義務付け訴訟の要件(行政事件訴訟法37条の2)
- 【第122問】差止訴訟の要件(行政事件訴訟法37条の4)
- 【第123問】仮の義務付け・仮の差止め(行政事件訴訟法37条の5・37条の6)
- 【第124問】処分性の例外(行政指導・行政契約・行政計画)
- 【第125問】行政指導の適法性(行政手続法32条〜36条)
- 【第126問】行政計画の処分性(都市計画決定など)
- 【第127問】行政契約と行政行為の区別(処分性の有無)
- 【第128問】行政行為の告知(到達主義・効力発生時期)
- 【第129問】行政行為の公定力(違法でも一応有効)
- 【第130問】行政行為の不可争力(出訴期間経過後の扱い)
- 【第131問】行政行為の第三者効(対世効)と原告適格の関係
- 【第132問】無効確認訴訟(行政事件訴訟法36条:重大かつ明白な瑕疵)
- 【第133問】取消訴訟の訴えの利益(現在の法律上の利益)
- 【第134問】取消訴訟の対象(処分性:行政指導・通知・通達の扱い)
- 【第135問】附款の処分性(負担の独立取消性:最判昭和39.10.29)
- 【第136問】行政行為の瑕疵の治癒(手続違反の後補正)
- 【第137問】行政行為が当然無効となる典型例(権限欠缺・要件欠缺など)
- 【第138問】裁量権の逸脱・濫用(取消事由:比例原則・平等原則)
- 【第139問】理由提示の瑕疵(理由附記の欠缺は取消事由)
- 【第140問】聴聞・弁明の機会付与(行政手続法13〜15条)
行政法総論|肢別式ドリル②の進め方
行政法総論分野の肢別式ドリルです。
行政手続・処分性・原告適格を中心に、1問ずつ「正誤+理由」を確認しながら理解を深めていきます。
【第72問】行政法の「信義則」(行政の自己拘束)
問:行政法における「信義則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 信義則とは、行政庁が過去の取扱いに拘束されることはなく、常に自由に判断できるという原則である。
- 信義則とは、行政庁が国民に対して誠実に対応すべきという民法の原則であり、行政法には適用されない。
- 信義則とは、行政庁が過去の取扱いや公的な表示に基づき、国民が合理的な信頼を抱いた場合、その信頼を保護すべきとする原則である。
- 信義則とは、行政庁が一度行った処分を、いかなる場合でも撤回できないとする原則である。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政法における信義則とは、 行政庁の過去の取扱いや公的な表示に基づき、 国民が合理的な信頼を抱いた場合、その信頼を保護すべきとする原則。 行政の自己拘束の根拠となり、 撤回や取扱い変更の可否判断にも大きく影響する。
【根拠法令・理論】
・行政法の一般原則(信義則・自己拘束)
・信頼保護原則(撤回の制限)
・判例法理(行政の公的表示と信頼保護)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政庁は過去の取扱いに一定の自己拘束を受ける。 恣意的変更は許されない。
2:誤り
信義則は民法だけでなく、 行政法にも一般原則として適用される。
3:正しい
行政の公的表示や過去の取扱いに対する国民の合理的信頼を保護するのが信義則。
4:誤り
撤回は可能だが、 信頼保護原則により制限されるだけで、絶対に禁止されるわけではない。
【判例ポイント】
結論:行政の公的表示に対する国民の合理的信頼は保護される。
理由:行政の予測可能性と国民の法的安定性を確保するため。
事案:行政庁の長年の取扱いを突然変更したことが、信義則違反として違法とされた判例。
【第73問】行政法の「平等原則」と行政裁量(行政の公平性)
問:行政庁が裁量を行使する際の「平等原則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 平等原則は、行政庁の裁量判断には適用されず、行政庁は自由に取扱いを変更できる。
- 平等原則は、行政庁が同様の事案を同様に取り扱うことを要求するが、例外は認められない。
- 平等原則は、行政庁が不合理な差別的取扱いを行った場合、裁量権の逸脱・濫用として違法となる。
- 平等原則は、行政処分には適用されるが、行政指導には適用されない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政庁が裁量を行使する際にも、 不合理な差別的取扱いは平等原則に反し、裁量権の逸脱・濫用として違法となる。 行政の公平性・予測可能性を確保するための重要な統制原理。
【根拠法令・理論】
・日本国憲法14条(平等原則)
・行政法の一般原則(平等・公平)
・裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
裁量判断にも平等原則は適用される。
2:誤り
例外はあり得るが、 不合理な差別的取扱いは許されない。
3:正しい
不合理な差別=平等原則違反=裁量権の逸脱・濫用。
4:誤り
行政指導にも平等原則は適用される。 行政指導であっても不合理な差別は許されない。
【判例ポイント】
結論:行政の裁量行使においても平等原則は適用され、不合理な差別的取扱いは違法。
理由:行政の公平性・予測可能性を確保するため。
事案:同様の許可申請に対し、一方のみを不当に不許可としたことが違法とされた判例。
【第74問】行政法の「法治主義」と「法律の留保」
問:行政庁が国民に義務を課したり権利を制限したりする場合の「法律の留保」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法律の留保とは、行政庁が必要と判断すれば、法律の根拠がなくても国民に義務を課すことができるという原則である。
- 法律の留保とは、行政庁が国民の権利義務に重大な影響を与える場合には、必ず法律の根拠が必要とされるという原則である。
- 法律の留保は、行政処分には適用されるが、行政指導には適用されない。
- 法律の留保は、行政庁の裁量判断を広げるための原則である。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
法律の留保とは、行政庁が国民の権利義務に影響を与える場合、 必ず法律の根拠が必要とされるという法治主義の核心原則。 特に、義務付け・権利制限の場面では、 行政の恣意的な権力行使を防ぐために強く働く。
【根拠法令・理論】
・日本国憲法41条(国会中心立法の原則)
・法治主義(法律の優位・法律の留保)
・行政法の一般原則
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
法律の留保は法律の根拠が必要という原則であり、 行政庁が自由に義務を課せるわけではない。
2:正しい
権利制限・義務付けには必ず法律の根拠が必要。 行政法の最重要原則のひとつ。
3:誤り
行政指導にも、実質的に権利制限に近い場合は 法律の留保が問題となる(判例)。
4:誤り
法律の留保は裁量を広げるのではなく、 行政権を制限する原則。
【判例ポイント】
結論:国民の権利義務に影響を与える行政行為には、法律の根拠が必要。
理由:行政の恣意的な権力行使を防ぎ、法治国家としての統制を確保するため。
事案:行政指導が実質的に義務付けに近く、法律の根拠が必要とされた判例。
【第75問】行政法の「比例原則」と処分の過剰性(必要最小限度の原則)
問:行政処分における「比例原則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 比例原則は、行政目的を達成するために最も強力な手段を選択すべきとする原則である。
- 比例原則は、行政目的を達成するために必要かつ合理的な範囲で、最も制限的でない手段を選択すべきとする原則である。
- 比例原則は、行政処分には適用されるが、行政指導には適用されない。
- 比例原則は、行政庁の裁量判断には及ばず、司法審査の対象とならない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
比例原則とは、行政目的を達成するために 必要かつ合理的な範囲で、最も制限的でない手段を選択すべき とする行政法の基本原則。 行政庁の裁量行使にも適用され、 過度に権利を制限する処分は違法となる。
【根拠法令・理論】
・行政法の一般原則(比例原則)
・裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)
・判例法理(必要最小限度の原則)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
比例原則は「最も強力な手段」ではなく、 最も制限的でない手段を選ぶべきという原則。
2:正しい
行政目的を達成するために必要最小限度の手段を選ぶべきというのが比例原則。
3:誤り
行政指導にも、実質的に権利制限に近い場合は 比例原則が問題となる(判例)。
4:誤り
比例原則は裁量判断にも及ぶ。 過度な制限は裁量権の逸脱・濫用となる。
【判例ポイント】
結論:行政処分は、目的達成のために必要最小限度でなければならない。
理由:行政権の行使が過度に国民の権利を制限することを防ぐため。
事案:営業停止処分が過度であるとして違法とされた判例。
【第76問】行政法の「裁量収縮」と判例法理(環境・都市計画分野)
問:行政庁の裁量が「収縮」するとされる場面に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 裁量収縮とは、行政庁が裁量を広く行使できるように、司法審査が緩やかになることをいう。
- 裁量収縮とは、行政庁の判断が専門的であるほど、裁量が広がることをいう。
- 裁量収縮とは、環境・都市計画など国民の権利利益に重大な影響を与える分野では、行政庁の裁量が実質的に狭く解されることをいう。
- 裁量収縮とは、行政庁が一度行った判断に拘束されなくなることをいう。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
裁量収縮とは、 環境・都市計画・人権制約など、国民の権利利益に重大な影響を与える分野では、行政庁の裁量が実質的に狭く解される という判例法理。 行政の専門性を尊重しつつも、国民の権利保護の必要性が高い場面では、 裁量統制が強まる(=収縮する) とされる。
【根拠法令・理論】
・行政事件訴訟法30条(裁量権の逸脱・濫用)
・環境法・都市計画法における判例法理
・比例原則・平等原則
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
裁量収縮は司法審査が厳しくなる方向。
2:誤り
専門性が高いほど裁量が広がるのは「裁量拡大」。 収縮とは逆。
3:正しい
環境・都市計画など、国民の権利利益が大きく影響を受ける分野では、 裁量が実質的に狭く解される。
4:誤り
行政の自己拘束の問題であり、裁量収縮とは関係ない。
【判例ポイント】
結論:環境・都市計画などの分野では、行政庁の裁量は実質的に狭く解される。
理由:国民の権利利益への影響が大きく、慎重な判断が求められるため。
事案:都市計画決定や公害規制において、行政庁の裁量が厳しく審査された判例。
【第77問】行政法の「明確性の原則」(不明確な規制の違法性)
問:行政法における「明確性の原則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 明確性の原則とは、行政庁が必要と判断すれば、抽象的・不明確な基準でも国民に義務を課すことができるという原則である。
- 明確性の原則とは、国民の権利義務に影響を与える規制は、内容が明確でなければならず、不明確な規制は違法となり得るという原則である。
- 明確性の原則は、刑事法にのみ適用され、行政法には適用されない。
- 明確性の原則とは、行政庁が一度示した基準を変更できないという原則である。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
明確性の原則とは、 国民の権利義務に影響を与える規制は 内容が明確でなければならず、不明確な規制は違法となり得る という行政法の基本原則。 不明確な基準は、行政の恣意的運用を招くため、 法治主義・予測可能性の観点から厳しく制限される。
【根拠法令・理論】
・法治主義(法律の明確性)
・行政法の一般原則(予測可能性・公平性)
・判例法理(不明確な基準の違法性)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
不明確な基準で義務付けはできない。 明確性の原則に反する。
2:正しい
規制内容は明確である必要がある。 不明確な規制は違法となり得る。
3:誤り
明確性の原則は行政法にも適用される。 (行政処分・行政指導など)
4:誤り
基準変更の可否は信義則・自己拘束の問題であり、明確性の原則とは別。
【判例ポイント】
結論:国民の権利義務に影響を与える規制は明確でなければならない。
理由:不明確な基準は恣意的運用を招き、法治主義に反するため。
事案:不明確な基準に基づく許可拒否処分が違法とされた判例。
【第78問】行政法の「信頼保護原則」(撤回の制限)
問:行政庁が一度行った処分を撤回する際に問題となる「信頼保護原則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 信頼保護原則とは、行政庁が一度行った処分は、いかなる場合でも撤回できないとする原則である。
- 信頼保護原則とは、行政庁が過去の取扱いに拘束されることはなく、常に自由に変更できるとする原則である。
- 信頼保護原則とは、行政庁の公的表示や過去の取扱いに基づき、国民が合理的な信頼を抱いた場合、その信頼を保護すべきとする原則である。
- 信頼保護原則とは、行政庁が誤って行った処分は、国民の信頼に関係なく必ず撤回しなければならないとする原則である。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
信頼保護原則とは、行政庁の公的表示や過去の取扱いに基づき、 国民が合理的な信頼を抱いた場合、その信頼を保護すべきとする行政法の基本原則。 撤回の可否判断において最重要の基準となり、 行政の予測可能性・法的安定性を確保する役割を持つ。
【根拠法令・理論】
・行政法の一般原則(信義則・信頼保護原則)
・行政行為の撤回(行政手続法)
・判例法理(公的表示と信頼保護)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
撤回は可能。ただし、信頼保護原則により制限される。
2:誤り
行政庁は過去の取扱いに一定の自己拘束を受ける。
3:正しい
合理的信頼の保護が信頼保護原則の中心。
4:誤り
誤りがあっても、国民の信頼が強く保護される場合は撤回が制限される。
【判例ポイント】
結論:行政の公的表示に対する国民の合理的信頼は保護される。
理由:行政の予測可能性と法的安定性を確保するため。
事案:長年の行政取扱いを突然変更したことが、信頼保護原則違反として違法とされた判例。
【第79問】行政行為の「撤回」と「取消し」(効果の違い)
問:行政行為の「撤回」と「取消し」の違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 撤回とは、行政行為に瑕疵がある場合に行われるものであり、取消しとは、行政行為に瑕疵がない場合に行われるものである。
- 撤回とは、行政行為を将来に向かって失効させる行為であり、取消しとは、行政行為を遡って無効とする行為である。
- 撤回と取消しは、いずれも行政行為を遡って無効にする点で同じである。
- 撤回と取消しは、いずれも行政行為を将来に向かって失効させる点で同じである。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政行為の撤回は、 行政行為に瑕疵がなくても、事情変更などにより 将来に向かって効力を失わせる行為。 一方、行政行為の取消しは、 行政行為に瑕疵がある場合に行われ、 遡って効力を失わせる(原則として遡及効)。
【根拠法令・理論】
・行政手続法(撤回)
・行政行為の効力(取消し・撤回)
・信頼保護原則(撤回の制限)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
撤回は瑕疵がなくても可能。 取消しは瑕疵がある場合。
2:正しい
撤回=将来効。 取消し=遡及効。
3:誤り
遡及するのは取消しのみ。
4:誤り
将来効なのは撤回のみ。
【判例ポイント】
結論:撤回は将来効、取消しは遡及効。
理由:撤回は事情変更への対応、取消しは瑕疵の是正。
事案:許可の撤回が信頼保護原則により制限された判例。
【第80問】行政法の「公定力」と「不可争力」(行政行為の安定性)
問:行政行為の効力である「公定力」と「不可争力」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 公定力とは、行政行為が無効であっても、行政庁が取り消すまで国民はこれに従わなければならないという効力である。
- 不可争力とは、行政行為が一定期間を経過すると、行政庁であっても取り消すことができなくなる効力である。
- 公定力とは、行政行為が適法であると一応推定され、私人は原則としてこれに従わなければならないという効力である。
- 不可争力とは、行政行為が常に裁判所で争うことができないという効力である。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
公定力とは、行政行為が 一応適法であると推定され、私人は原則として従わなければならない という効力。 行政の安定性を確保するための基本原理。 一方、不可争力とは、 不服申立て期間の経過により、行政行為を争うことができなくなる という効力であり、 「常に争えない」という意味ではない。
【根拠法令・理論】
・行政行為の効力(公定力・不可争力)
・行政不服審査法(不服申立て期間)
・行政事件訴訟法(出訴期間)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
無効な行政行為には公定力は及ばない。 公定力は「一応の適法推定」。
2:誤り
不可争力は私人が争えなくなる効力であり、 行政庁が取り消せないという意味ではない。
3:正しい
公定力=行政行為の適法推定+私人の服従義務。
4:誤り
不可争力は「期間経過により争えなくなる」だけで、 常に争えないわけではない。
【判例ポイント】
結論:行政行為は一応適法と推定され、私人は原則従う義務を負う。
理由:行政の安定性・迅速性を確保するため。
事案:公定力により、私人が行政行為の違法性を直接争えなかった事案。
【第81問】行政手続法の目的(公正の確保・透明性の向上)
問:行政手続法の目的に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政手続法の目的は、行政庁の裁量を最大限に広げ、迅速な行政運営を可能にすることである。
- 行政手続法の目的は、行政運営の公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益を保護することである。
- 行政手続法は、行政庁内部の事務処理手続のみを対象とし、国民との関係には適用されない。
- 行政手続法は、行政庁が行うすべての行為に適用され、例外は一切認められない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法の目的は、 行政運営の公正の確保・透明性の向上・国民の権利利益の保護。 行政処分・行政指導・届出などの手続を明確化し、 恣意的な行政を防ぐために制定された。
【根拠法令・理論】
・行政手続法1条(目的)
・法治主義・適正手続の保障
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政手続法は裁量を広げるのではなく、 公正・透明性を確保するために手続を整備する法律。
2:正しい
行政手続法1条の目的そのもの。
3:誤り
行政手続法は国民と行政の関係を規律する法律。 内部手続だけではない。
4:誤り
適用除外が多数ある(例:租税、出入国、刑事手続など)。
【判例ポイント】
結論:行政手続法は、国民の権利利益を守るための手続的保障を整備した法律。
理由:行政の透明性・予測可能性を高め、恣意的運用を防ぐため。
事案:行政手続法の趣旨を踏まえ、理由提示の重要性が強調された判例。
【第82問】行政指導の限界(不利益取扱いの禁止・文書明確化義務)
問:行政指導に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は行政庁の裁量に基づくため、相手方が応じない場合には、許認可の不利益処分を行うことができる。
2. 行政指導に応じなかったことを理由として、行政庁が不利益な取扱いをすることは、行政手続法により禁止されている。
3. 行政指導は行政処分と同様に法的拘束力を持ち、私人に義務を課すことができる。
4. 行政指導の内容は行政庁の判断に委ねられているため、相手方が求めても文書で明確化する必要はない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法32条は、行政指導に応じなかったことを理由とする不利益取扱いを禁止している。行政指導は任意の協力を前提とするため、行政庁が事実上の強制や不利益処分で誘導することは許されない。
【根拠法令】
・行政手続法32条(不利益取扱いの禁止)
・行政手続法33条(文書明確化義務)
・行政指導の本質:任意性・非権力性
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導に応じないことを理由に不利益処分を行うことは、行政手続法32条で禁止されている。
2:正しい
行政手続法32条の規定どおり。
3:誤り
行政指導には法的拘束力がなく、私人に義務を課すことはできない。
4:誤り
相手方が求めた場合、行政庁は行政指導の内容を文書で明確化する義務を負う(行政手続法33条2項)。
【判例ポイント】
結論:行政指導は、任意の協力を前提とする非権力的な働きかけにとどまるべきものである。
理由:行政指導を通じて事実上の強制や不利益取扱いが行われると、手続的保障や権利保護が害されるため。
事案:行政指導に応じないことを理由とする不利益な扱いが問題となり、任意性の確保と不利益取扱い禁止の重要性が強調された事案。
【第83問】行政行為の撤回(信頼保護原則・公益との比較衡量)
問:行政行為の撤回に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為の撤回は、行政庁が自由に行うことができ、私人の信頼利益を考慮する必要はない。
2. 行政行為の撤回は、行政行為に瑕疵がある場合に限り行うことができる。
3. 行政行為の撤回は、公益と私人の信頼利益を比較衡量して判断される。
4. 行政行為の撤回は、常に遡及効を伴う。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政行為の撤回は、行政庁の自由裁量ではなく、
公益と私人の信頼利益を比較衡量して判断される。
信頼保護原則・比例原則が強く働き、私人の信頼利益が大きい場合には撤回が制限される。
【根拠法令・理論】
・行政法一般原則(信頼保護原則・比例原則)
・行政手続法(不利益処分の一般原則)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
撤回は行政庁の自由ではなく、私人の信頼利益を考慮する必要がある。
2:誤り
瑕疵がある場合に行うのは「取消」。撤回は瑕疵がなくても公益上の必要があれば可能。
3:正しい
撤回は、公益と私人の信頼利益の比較衡量により判断される。
4:誤り
撤回は将来効が原則であり、遡及効は例外。
【判例ポイント】
結論:行政行為の撤回は、信頼保護原則に基づき、私人の信頼利益を考慮して判断される。
理由:行政庁の一方的な撤回により、私人が不当な不利益を受けることを防ぐため。
事案:建築許可の撤回において、私人の信頼利益が大きいとして撤回が違法とされた判例(最判昭和50.12.25)。
【第84問】行政処分の定義(行政手続法2条4号)
問:行政手続法における「行政処分」の定義として正しいものはどれか。
1. 行政処分とは、行政庁が行うすべての行為をいう。
2. 行政処分とは、行政庁が私人に義務を課す行為のみをいう。
3. 行政処分とは、行政庁が法令に基づき、特定の者に対して直接に権利義務を形成し、またはその範囲を確定する行為をいう。
4. 行政処分とは、行政庁が行う事実行為を含む広い概念である。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法2条4号は、行政処分を「行政庁が法令に基づき、特定の者に対して直接に権利義務を形成し、またはその範囲を確定する行為」と定義している。 許認可・命令・禁止などが典型例である。
【根拠法令】
・行政手続法2条4号(処分の定義)
・行政法総論(行政行為の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政庁のすべての行為が処分ではない。事実行為や行政指導は含まれない。
2:誤り
義務を課す行為だけでなく、許可・認可など権利を付与する行為も処分に含まれる。
3:正しい
行政手続法2条4号の定義そのもの。
4:誤り
事実行為(道路清掃・巡回など)は処分に含まれない。
【判例ポイント】
結論:行政処分とは、特定の者の権利義務に直接影響を与える行為である。
理由:処分性の判断は、司法審査の対象範囲を決める重要な基準となるため。
事案:行政指導や内部的行為は処分性が否定され、司法審査の対象外とされた判例が多数。
【第85問】行政処分の要件(処分性:法的効果の有無)
問:行政手続法における「行政処分(処分性)」の判断基準として正しいものはどれか。
1. 行政庁が行った行為であれば、すべて行政処分に該当する。
2. 行政処分とは、行政庁の内部的な決裁や通知も含む広い概念である。
3. 行政処分とは、行政庁の行為が国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼす場合に認められる。
4. 行政処分とは、行政庁が文書で行った行為に限られる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政処分(処分性)は、行政庁の行為が 国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうか によって判断される。 内部的行為・事実行為・行政指導などは、法的効果を伴わないため処分性が否定される。
【根拠法令】
・行政手続法2条4号(処分の定義)
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政庁の行為すべてが処分ではない。内部的行為・事実行為・行政指導は処分に該当しない。
2:誤り
内部的決裁・通知は法的効果を伴わず、処分性は否定される。
3:正しい
処分性の判断基準は「国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうか」。
4:誤り
口頭処分(例:警察官の停止命令)も処分に該当するため、文書に限定されない。
【判例ポイント】
結論:行政処分とは、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼす行為である。
理由:処分性が認められなければ、司法審査(取消訴訟)の対象とならず、国民の権利救済が図れないため。
事案:行政指導は法的効果を伴わないため処分性が否定された判例(最判平成14.1.17)。
【第86問】行政処分の通知(行政手続法15条:到達主義)
問:行政手続法における「行政処分の通知」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政処分は、行政庁が処分書を作成した時点で効力を生じる。
2. 行政処分は、相手方が処分内容を理解した時点で効力を生じる。
3. 行政処分は、相手方に処分が到達した時点で効力を生じる。
4. 行政処分は、相手方が受け取りを拒否した場合、効力は生じない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法15条は、行政処分の効力発生時期について、 「相手方に到達した時」=到達主義 を採用している。 理解の有無や受領の意思は関係なく、到達した時点で効力が生じる。
【根拠法令】
・行政手続法15条(処分の通知)
・行政事件訴訟法(処分性の判断基準)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
処分書の作成時点では効力は生じない。到達が必要。
2:誤り
相手方が理解したかどうかは効力発生に影響しない。
3:正しい
行政処分の効力発生は「到達主義」が原則。
4:誤り
受け取り拒否をしても、通常到達すべき時点で到達したものとみなされる(判例)。
【判例ポイント】
結論:行政処分の効力発生は到達主義であり、受領拒否でも効力は生じる。
理由:相手方の恣意的な受領拒否で行政行為の効力が左右されるのを防ぐため。
事案:処分書の受領拒否があったが、通常到達すべき時点で到達と認められた判例。
【第87問】行政処分の理由提示(理由の明確性・具体性)
問:行政庁が不利益処分を行う際の「理由提示」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁は、処分の理由を抽象的に示せば足り、具体的な事実を示す必要はない。
2. 行政庁は、相手方が理由を求めた場合に限り、理由を提示すればよい。
3. 行政庁は、不利益処分を行う際、処分の根拠となる事実および法令を具体的に示さなければならない。
4. 行政庁は、理由提示を後日に行うことは一切認められない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法14条は、行政庁に対し、
処分の根拠となる事実および法令を具体的に示す義務
を課している。 抽象的・形式的な説明では足りず、相手方が処分の妥当性を判断できる程度の明確性が必要である。
【根拠法令】
・行政手続法14条(理由の提示)
・行政手続法8条(処分の方式)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
抽象的な理由提示は違法。 相手方が理解できる程度の具体性が必要。
2:誤り
理由提示は相手方の求めがなくても義務。 処分時に必ず示さなければならない。
3:正しい
処分の根拠となる事実と法令を具体的に示す必要がある。
4:誤り
公益上の必要がある場合、例外的に後日提示が認められる(14条2項)。
【判例ポイント】
結論:理由提示は具体的でなければならず、抽象的説明は違法。
理由:相手方の防御権を保障するため。
事案:営業停止処分で、理由が抽象的すぎるとして違法とされた判例。
【第88問】聴聞手続の内容(行政手続法13条〜15条)
問:行政手続法における「聴聞手続」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 聴聞は、行政庁が行う不利益処分のすべてについて必ず実施しなければならない。
2. 聴聞の主宰者は、処分を行う行政庁の職員でなければならない。
3. 聴聞では、相手方に意見陳述や証拠提出の機会が与えられる。
4. 聴聞通知は、口頭で行えば足り、書面で行う必要はない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法13条〜15条は、聴聞手続において、 相手方に意見陳述・証拠提出の機会を保障する と定めている。 これは不利益処分に対する防御権を確保するための重要な制度である。
【根拠法令】
・行政手続法13条(聴聞)
・行政手続法14条(理由提示)
・行政手続法15条(弁明の機会)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
聴聞が必要なのは「重大な不利益処分」に限られる。 すべての不利益処分で聴聞が必要なわけではない。
2:誤り
聴聞の主宰者は、処分担当者から独立した者でなければならない(公平性確保)。
3:正しい
聴聞では、相手方に意見陳述・証拠提出の機会が保障される。
4:誤り
聴聞通知は書面で行う必要がある(行政手続法13条2項)。
【判例ポイント】
結論:聴聞は相手方の防御権を保障するための重要な手続である。
理由:処分の適正・公正を確保し、恣意的な行政を防ぐため。
事案:聴聞を経ずに行われた営業停止処分が違法とされた判例。
【第89問】弁明の機会付与(行政手続法15条:聴聞との違い)
問:行政手続法における「弁明の機会付与」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 弁明の機会付与は、必ず口頭で行わなければならない。
2. 弁明の機会付与は、聴聞と異なり、相手方に意見陳述の機会を与える必要はない。
3. 弁明の機会付与は、書面提出による意見陳述の機会を与える手続である。
4. 弁明の機会付与は、重大な不利益処分に限り行われる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法15条は、行政庁が不利益処分を行う際、 相手方に書面による意見提出の機会を与える手続 を定めている。 聴聞より簡易な手続であり、主宰者も不要。
【根拠法令】
・行政手続法15条(弁明の機会付与)
・行政手続法13条(聴聞)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
弁明は書面提出が原則であり、口頭で行う義務はない。
2:誤り
弁明の機会付与も「意見陳述の機会」を与える制度である。 ただし、聴聞より簡易な方式。
3:正しい
弁明の機会付与は、書面による意見提出の機会を与える手続である。
4:誤り
重大な不利益処分は「聴聞」。 弁明はそれより軽い不利益処分に適用される。
【判例ポイント】
結論:弁明の機会付与は、聴聞より簡易な意見陳述手続である。
理由:処分の適正を確保しつつ、行政の迅速性との調和を図るため。
事案:弁明の機会を与えずに行われた処分が違法とされた判例。
【第90問】行政手続法の適用除外(行政手続法2条・3条)
問:行政手続法の適用除外に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政手続法は、すべての行政活動に適用され、例外は存在しない。
2. 行政手続法は、刑事手続や租税に関する処分には適用されない。
3. 行政手続法は、国会・裁判所の行う行政処分にも適用される。
4. 行政手続法は、地方公共団体には適用されない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法3条は、
刑事手続・租税・国の安全に関する処分などは適用除外
と定めている。 これらは特別法や独自の手続があるため、行政手続法の一般ルールが適用されない。
【根拠法令】
・行政手続法2条(定義)
・行政手続法3条(適用除外)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政手続法には多数の適用除外がある(3条)。 すべての行政活動に適用されるわけではない。
2:正しい
刑事手続・租税・国の安全などは行政手続法の適用除外(3条)。
3:誤り
国会・裁判所の行う行政処分は行政手続法の対象外(立法・司法の独立)。
4:誤り
行政手続法は地方公共団体にも適用される(2条)。 ただし条例で独自手続を定めることは可能。
【判例ポイント】
結論:行政手続法は一般法であり、特別法がある分野(刑事・租税など)は適用除外。
理由:各分野に固有の手続保障が存在するため。
事案:租税処分に行政手続法の聴聞規定を適用できないとされた判例。
【第91問】申請に対する処分(行政手続法5条〜7条:申請拒否の理由提示)
問:行政手続法における「申請に対する処分」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁は、申請を拒否する場合であっても、理由を示す義務はない。
2. 行政庁は、申請に対する処分をする際、相当の期間内に処分をしなければならない。
3. 行政庁は、申請が要件を満たしているかどうかに関係なく、自由裁量で許可・不許可を決めることができる。
4. 行政庁は、申請に対する処分を行う際、必ず聴聞を行わなければならない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法7条は、行政庁に対し、 申請に対する処分を「相当の期間内」に行う義務 を課している。 また、申請を拒否する場合には理由提示義務(8条)がある。
【根拠法令】
・行政手続法5条(申請)
・行政手続法6条(審査基準)
・行政手続法7条(標準処理期間)
・行政手続法8条(理由の提示)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
申請拒否には理由提示義務(8条)がある。 不利益処分だけでなく、申請拒否も理由提示が必要。
2:正しい
行政庁は、申請に対する処分を相当の期間内に行う義務がある(7条)。 標準処理期間を定める努力義務もある。
3:誤り
申請処分は審査基準(6条)に従って行われる。 行政庁の自由裁量ではない。
4:誤り
聴聞は不利益処分に関する制度であり、申請処分には不要。
【判例ポイント】
結論:申請拒否には理由提示義務があり、処分は相当の期間内に行う必要がある。
理由:申請者の権利救済と行政の透明性を確保するため。
事案:許可申請の不許可処分で理由提示が不十分として違法とされた判例。
【第92問】審査基準・処分基準・行政指導指針(行政手続法5条〜7条・12条)
問:行政手続法における「審査基準・処分基準・行政指導指針」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 審査基準は、行政庁が申請を許可するかどうかを判断する基準であり、設定は努力義務である。
2. 処分基準は、不利益処分の内容・量定を定める基準であり、行政庁はこれを定める義務がある。
3. 行政指導指針は、行政指導の内容を定める基準であり、行政庁は必ず公表しなければならない。
4. 審査基準・処分基準・行政指導指針はいずれも、行政庁が内部で参考にするだけのもので、公表義務はない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法12条は、行政庁に対し、 不利益処分の内容・量定を定める「処分基準」を設定する義務 を課している。 これは、行政裁量の透明性を確保し、恣意的な処分を防ぐための制度である。
【根拠法令】
・行政手続法5条(申請)
・行政手続法6条(審査基準)
・行政手続法7条(標準処理期間)
・行政手続法12条(処分基準)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
審査基準(6条)は設定義務であり、努力義務ではない。 申請処分の透明性を確保するために必須。
2:正しい
処分基準(12条)は、不利益処分の内容・量定を定める基準であり、行政庁の設定義務がある。
3:誤り
行政指導指針(行政手続法32条〜36条)は、努力義務であり、必ず公表しなければならないわけではない。
4:誤り
審査基準・処分基準は公表義務あり(6条3項・12条2項)。 行政指導指針は努力義務だが、公表が望ましいとされる。
【判例ポイント】
結論:処分基準は行政庁の裁量を拘束し、恣意的な処分を防ぐ役割を持つ。
理由:基準がなければ、同種事案で処分内容が不均衡となり、平等原則に反するおそれがある。
事案:処分基準に反した量定が違法とされた判例(量定の平等性が問題となった事例)。
【第93問】標準処理期間(行政手続法7条:申請処理の迅速性)
問:行政手続法における「標準処理期間」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 標準処理期間は、行政庁が必ず遵守しなければならない法的拘束力のある期間である。
2. 標準処理期間は、行政庁が申請に対する処分を行うまでのおおよその目安として設定される。
3. 標準処理期間は、申請者が求めた場合に限り設定される。
4. 標準処理期間は、不利益処分にのみ適用される制度である。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法7条は、行政庁に対し、 申請に対する処分を行うまでの標準的な期間(標準処理期間)を定める努力義務 を課している。 これは申請者の予測可能性を高め、行政の迅速性を確保するための制度である。
【根拠法令】
・行政手続法7条(標準処理期間)
・行政手続法6条(審査基準)
・行政手続法8条(処分の方式)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
標準処理期間は努力義務であり、法的拘束力はない。
2:正しい
標準処理期間は、申請処理の目安として設定される。
3:誤り
申請者の求めによらず、行政庁が自ら設定する努力義務がある。
4:誤り
標準処理期間は申請処分に関する制度であり、不利益処分には適用されない。
【判例ポイント】
結論:標準処理期間は行政の迅速性・透明性を確保するための制度である。
理由:申請者が処分時期を予測できるようにすることで、行政の公平性と信頼性を高めるため。
事案:標準処理期間を大幅に超えた処理遅延が違法とまではいえないが、行政の適正性が問題となった事例。
【第94問】行政指導の方式(行政手続法33条:文書明示義務)
問:行政手続法における「行政指導の方式」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は、必ず文書で行わなければならず、口頭で行うことはできない。
2. 行政指導は、相手方が求めた場合、行政庁はその内容・趣旨を文書で示さなければならない。
3. 行政指導は、行政庁が義務を課すことができる法的拘束力を持つ。
4. 行政指導に従わない者には、行政罰が科されることがある。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法33条は、行政指導について、 相手方が求めた場合には、行政庁はその内容・趣旨を文書で明示する義務 を定めている。 行政指導は任意の協力を求める非権力的行為であり、強制力はない。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法33条(行政指導の方式)
・行政手続法36条(不利益取扱いの禁止)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は口頭でも可能。 文書化は相手方が求めた場合に必要。
2:正しい
相手方が求めた場合、行政庁は行政指導の趣旨を文書で明示する義務がある。
3:誤り
行政指導は法的拘束力を持たない。 義務を課すことはできない。
4:誤り
行政指導に従わない者に行政罰を科すことはできない。 不利益取扱いも禁止(36条)。
【判例ポイント】
結論:行政指導は任意協力が前提であり、文書明示義務は透明性確保のための制度。
理由:行政指導が事実上の強制となることを防ぐため。
事案:行政指導に従わない企業に許認可を留保した行為が違法とされた判例(最判昭和53.3.14)。
【第95問】行政指導の不利益取扱い禁止(行政手続法36条)
問:行政手続法における「行政指導の不利益取扱い禁止」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導に従わない者に対して、行政庁は許認可の不利益取扱いをすることができる。
2. 行政指導は任意の協力を求めるものであるため、従わない者に不利益を与えることは禁止されている。
3. 行政指導に従わない場合、行政庁は行政罰を科すことができる。
4. 行政指導は法的拘束力を持つため、従わない者には制裁が認められる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法36条は、行政指導に従わないことを理由として、 許認可・行政サービスなどで不利益な取扱いをしてはならない と明確に定めている。 行政指導はあくまで任意の協力を求める非権力的行為であり、強制力はない。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法33条(行政指導の方式)
・行政手続法36条(不利益取扱いの禁止)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導に従わないことを理由に不利益取扱いをすることは明確に禁止されている(36条)。
2:正しい
行政指導は任意協力が前提であり、従わない者に不利益を与えることはできない。
3:誤り
行政指導に従わないことを理由に行政罰を科すことはできない。 行政指導は非権力的行為であり、強制力を伴わない。
4:誤り
行政指導は法的拘束力を持たない。 従わない者に制裁を科すことはできない。
【判例ポイント】
結論:行政指導に従わないことを理由に不利益取扱いをすることは違法。
理由:行政指導が事実上の強制となることを防ぐため。
事案:行政指導に従わない企業に許認可を留保した行為が違法とされた判例(最判昭和53.3.14)。
【第96問】行政指導の中止要求(行政手続法35条)
問:行政手続法における「行政指導の中止要求」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は任意の協力を求めるものであるため、中止を求める制度は存在しない。
2. 行政指導を受けた者は、行政庁に対して行政指導の中止を求めることができる。
3. 行政指導の中止要求は、文書で行わなければならず、口頭ではできない。
4. 行政指導の中止要求を受けた行政庁は、必ず行政指導を中止しなければならない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法35条は、行政指導を受けた者に対し、 行政指導の中止を求める権利 を認めている。 行政指導は任意協力が前提であり、強制力を伴わないため、中止要求制度が設けられている。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法33条(行政指導の方式)
・行政手続法35条(行政指導の中止要求)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は任意協力が前提であるため、むしろ中止要求制度が存在する(35条)。
2:正しい
行政指導を受けた者は、行政庁に対して中止を求めることができる。
3:誤り
中止要求は口頭でも可能。文書である必要はない。
4:誤り
行政庁は中止要求を受けても、必ず中止しなければならないわけではない。 ただし、行政指導の任意性を損なわないよう配慮が必要。
【判例ポイント】
結論:行政指導は任意協力が前提であり、中止要求制度はその任意性を担保するための制度。
理由:行政指導が事実上の強制となることを防ぐため。
事案:行政指導に従わない企業に対し許認可を留保した行為が違法とされた判例(最判昭和53.3.14)。
【第97問】行政指導の一般原則(行政手続法32条:任意性・目的明確性)
問:行政手続法における「行政指導の一般原則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は、行政庁が必要と判断すれば、相手方に義務を課すことができる。
2. 行政指導は、行政庁がその目的を明確に示す必要はない。
3. 行政指導は、相手方の任意の協力を前提とし、強制してはならない。
4. 行政指導は、行政庁が行う行政処分と同じ法的拘束力を持つ。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法32条は、行政指導について、 相手方の任意の協力を前提とし、強制してはならない と定めている。 行政指導は非権力的行為であり、義務付けや強制は許されない。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法33条(行政指導の方式)
・行政手続法36条(不利益取扱いの禁止)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は義務を課すことはできない。 義務付けは行政処分の領域であり、行政指導では禁止。
2:誤り
行政指導は目的を明確に示す必要がある(32条1項)。 目的不明確な行政指導は違法となる。
3:正しい
行政指導は任意性が本質。 強制・義務付け・不利益取扱いは禁止(32条2項・36条)。
4:誤り
行政指導は法的拘束力を持たない。 行政処分とは全く異なる性質。
【判例ポイント】
結論:行政指導は任意協力が前提であり、事実上の強制は違法。
理由:行政指導が強制力を持つと、行政処分との区別が曖昧になり、適正手続が害されるため。
事案:行政指導に従わない企業に許認可を留保した行為が違法とされた判例(最判昭和53.3.14)。
【第98問】審査基準の設定義務(行政手続法6条:申請処分の透明性)
問:行政手続法における「審査基準」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 審査基準は、行政庁が任意で定めるものであり、設定義務はない。
2. 審査基準は、申請に対する処分の判断基準であり、行政庁はこれを定め、公表する義務がある。
3. 審査基準は、不利益処分の内容・量定を定める基準である。
4. 審査基準は、行政指導の内容を定める基準であり、相手方の求めがあった場合のみ公表される。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法6条は、行政庁に対し、 申請に対する処分の判断基準(審査基準)を定め、公表する義務 を課している。 これは申請者の予測可能性を高め、行政裁量の透明性を確保するための制度である。
【根拠法令】
・行政手続法5条(申請)
・行政手続法6条(審査基準)
・行政手続法7条(標準処理期間)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
審査基準は設定義務であり、任意ではない。
2:正しい
審査基準は申請処分の判断基準であり、行政庁は設定・公表義務を負う。
3:誤り
不利益処分の内容・量定を定めるのは処分基準(12条)。
4:誤り
行政指導の内容を定めるのは行政指導指針(32〜36条)であり、審査基準とは別。
【判例ポイント】
結論:審査基準は行政裁量を拘束し、恣意的な判断を防ぐ役割を持つ。
理由:基準がなければ、同種事案で判断が不均衡となり、平等原則に反するおそれがある。
事案:審査基準に反した不許可処分が違法とされた判例(裁量逸脱・濫用)。
【第99問】処分基準の設定義務(行政手続法12条:不利益処分の量定基準)
問:行政手続法における「処分基準」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 処分基準は、行政庁が任意で定めるものであり、設定義務はない。
2. 処分基準は、不利益処分の内容・量定を定める基準であり、行政庁はこれを定め、公表する義務がある。
3. 処分基準は、申請に対する許可・不許可の判断基準である。
4. 処分基準は、行政指導の内容を定める基準であり、相手方の求めがあった場合のみ公表される。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政手続法12条は、行政庁に対し、 不利益処分の内容・量定を定める「処分基準」を設定し、公表する義務 を課している。 これは行政裁量の透明性を確保し、恣意的な処分を防ぐための制度である。
【根拠法令】
・行政手続法12条(処分基準)
・行政手続法14条(理由提示)
・行政手続法15条(弁明の機会)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
処分基準は設定義務であり、任意ではない。
2:正しい
処分基準は不利益処分の量定基準であり、行政庁は設定・公表義務を負う。
3:誤り
申請処分の判断基準は審査基準(6条)であり、処分基準とは別。
4:誤り
行政指導の内容を定めるのは行政指導指針(32〜36条)であり、処分基準とは異なる。
【判例ポイント】
結論:処分基準は行政裁量を拘束し、量定の公平性を確保する役割を持つ。
理由:基準がなければ、同種事案で処分内容が不均衡となり、平等原則に反するおそれがある。
事案:処分基準に反した量定が裁量逸脱・濫用として違法とされた判例。
【第100問】原告適格の拡張(法律上の利益:環境・景観利益)
問:行政事件訴訟法における「原告適格」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 原告適格は、処分の相手方に限られ、第三者には認められない。
2. 原告適格は、処分により事実上の不利益を受ける者であれば認められる。
3. 原告適格は、当該法令の趣旨・目的から保護される利益を有する者に認められる。
4. 原告適格は、環境や景観に関する利益には認められない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政事件訴訟法9条は、原告適格を 「当該処分により法律上の利益を侵害されるおそれがある者」 と定めている。 判例は、法令の趣旨・目的から保護される利益を広く認め、 環境利益・景観利益などの第三者利益も原告適格に含める方向 で拡張している。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・行政事件訴訟法10条(第三者の原告適格)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
原告適格は処分の相手方に限られない。 隣地住民など第三者にも認められる場合がある。
2:誤り
「事実上の不利益」では足りない。 必要なのは法律上の利益。
3:正しい
法令の趣旨・目的から保護される利益を有する者に原告適格が認められる。 環境・景観利益も含まれる(判例)。
4:誤り
環境利益・景観利益は、判例上法律上の利益として認められる方向にある。
【判例ポイント】
結論:原告適格は「法律上の利益」を基準に広く認められる。
理由:環境・景観など、法令の趣旨から保護される利益が拡大しているため。
事案:隣地住民が建築確認処分の取消を求め、景観利益が法律上の利益として認められた判例(最判平成17.12.7)。
【第101問】取消訴訟の訴えの利益(処分の現存性・回復可能性)
問:取消訴訟の「訴えの利益」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 取消訴訟は、処分がすでに効力を失っている場合には、訴えの利益は常に失われる。
2. 取消訴訟の訴えの利益は、処分の取消により原告の法律上の地位が回復する可能性がある場合に認められる。
3. 取消訴訟は、処分の違法性を確認する目的だけでも提起することができる。
4. 取消訴訟の訴えの利益は、処分の相手方に限り認められる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
取消訴訟の訴えの利益は、 処分を取り消すことで原告の法律上の地位が回復する可能性があるかどうか によって判断される(行政事件訴訟法9条・判例)。 処分が既に効力を失っていても、回復可能性があれば訴えの利益は残る。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・行政事件訴訟法10条(第三者の原告適格)
・判例法理(訴えの利益:回復可能性)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
処分が効力を失っていても、法律上の地位が回復する可能性があれば訴えの利益は残る。 例:建築確認取消 → 建物完成後でも違法建築物として是正措置が可能。
2:正しい
訴えの利益は、取消によって原告の法律上の地位が回復する可能性があるかで判断される。
3:誤り
取消訴訟は「違法確認訴訟」ではない。 違法性の確認だけを目的とする訴えは認められない(確認の利益なし)。
4:誤り
訴えの利益は第三者にも認められる場合がある(例:隣地住民)。 相手方に限定されない。
【判例ポイント】
結論:取消訴訟の訴えの利益は「法律上の地位の回復可能性」で判断される。
理由:処分が形式的に消滅しても、実質的な不利益が残る場合があるため。
事案:建築確認取消訴訟で、建物完成後でも是正措置の可能性があるとして訴えの利益が認められた判例。
【第102問】取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条:処分庁主義)
問:取消訴訟の「被告適格」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 取消訴訟の被告は、常に国または地方公共団体である。
2. 取消訴訟の被告は、処分を行った行政庁(処分庁)である。
3. 取消訴訟の被告は、処分の相手方が自由に選択することができる。
4. 取消訴訟の被告は、処分の根拠となる法令を制定した国会である。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政事件訴訟法11条は、取消訴訟の被告を 「当該処分をした行政庁(処分庁)」 と定めている。 国や自治体そのものではなく、処分を行った行政庁が被告となる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法11条(被告適格)
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
被告は国や自治体ではなく、処分を行った行政庁である。
2:正しい
取消訴訟の被告は処分庁。 処分を行った行政庁が被告となる(処分庁主義)。
3:誤り
被告は原告が選べるものではない。 法定されている。
4:誤り
国会は立法機関であり、処分を行わないため被告にはならない。
【判例ポイント】
結論:取消訴訟の被告は「処分庁」。
理由:処分の違法性を争うためには、処分を行った行政庁が最も適切な当事者であるため。
事案:自治体の内部機関が処分を行った場合、その内部機関が被告となるとされた判例。
【第103問】処分性(行政事件訴訟法3条:法的効果の有無)
問:行政事件訴訟法における「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は、行政庁の行為であるため、常に処分性が認められる。
2. 行政庁の内部的な決裁や通知であっても、行政庁が行った行為であれば処分性が認められる。
3. 処分性は、当該行為が国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうかで判断される。
4. 行政庁が行った行為は、私人に不利益が生じれば必ず処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政事件訴訟法3条は、処分性を 「公権力の行使として、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼす行為」 と定義している。 したがって、法的効果の有無が処分性判断の中心となる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は法的拘束力を持たない非権力的行為であり、通常は処分性が否定される。
2:誤り
内部的な決裁・通知は外部に法的効果を及ぼさないため、処分性は認められない。
3:正しい
処分性の判断基準は、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうかである。
4:誤り
私人に不利益が生じても、法的効果がなければ処分性は認められない。 (例:行政指導・内部文書)
【判例ポイント】
結論:処分性は「法的効果の有無」で判断される。
理由:行政事件訴訟は法的効果を争う制度であり、事実上の不利益だけでは足りない。
事案:行政指導は法的効果を伴わないため処分性が否定された判例(最判平成14.1.17)。
【第104問】行政指導の処分性(行政指導は原則として処分性なし)
問:行政指導の「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は行政庁の行為であるため、常に処分性が認められる。
2. 行政指導は、私人に事実上の不利益を与える場合には必ず処分性が認められる。
3. 行政指導は、法的拘束力を持たないため、原則として処分性は認められない。
4. 行政指導は、行政庁が強く要請した場合には当然に処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政指導は、行政庁が私人に対して 任意の協力を求める非権力的行為 であり、法的拘束力を持たない。 そのため、原則として処分性は認められない(最判平成14.1.17)。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法36条(不利益取扱いの禁止)
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は行政庁の行為だが、法的効果を伴わないため処分性は認められない。
2:誤り
事実上の不利益があっても、法的効果がなければ処分性は否定される。
3:正しい
行政指導は非権力的行為であり、原則として処分性なし。
4:誤り
行政庁が強く要請しても、法的効果がなければ処分性は認められない。 ただし、事実上の強制があれば違法となる(最判昭和53.3.14)。
【判例ポイント】
結論:行政指導は法的効果を伴わないため、原則として処分性なし。
理由:行政指導は任意協力が前提であり、法的拘束力を持たないため。
事案:行政指導に従わない企業に不利益を与えた行為が違法とされた判例(最判昭和53.3.14)。
【第105問】行政庁の内部行為の処分性(内部文書・通達・決裁)
問:行政庁の内部的行為の「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁内部の決裁文書であっても、行政庁が作成したものであれば処分性が認められる。
2. 行政庁内部の通達は、一般に国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさないため、処分性は認められない。
3. 行政庁内部の指示であっても、職員に義務を課すものであれば処分性が認められる。
4. 行政庁内部の行為は、私人に事実上の不利益を与える場合には必ず処分性が認められる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政庁内部の通達・指示・決裁などは、 行政内部の意思形成過程にとどまり、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさない ため、原則として処分性は認められない(行政事件訴訟法3条)。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
内部決裁文書は外部に法的効果を及ぼさないため、処分性は否定される。
2:正しい
通達は行政内部の統一解釈・指示であり、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさないため処分性なし。
3:誤り
職員に義務を課す内部指示は、あくまで内部規律であり、処分性は認められない。
4:誤り
事実上の不利益があっても、法的効果がなければ処分性は認められない。 (行政指導と同じ考え方)
【判例ポイント】
結論:内部文書・通達・決裁は原則として処分性なし。
理由:国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさないため。
事案:内部通達の違法性を争ったが、処分性が否定された判例(最判昭和50年代以降の多数)。
【第106問】通知・催告の処分性(行政事件訴訟法3条:法的効果の有無)
問:行政庁が行う「通知・催告」の処分性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁が行う通知は、行政庁の行為であるため、常に処分性が認められる。
2. 催告は、私人に事実上の不利益を与える場合には必ず処分性が認められる。
3. 通知・催告は、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさない限り、処分性は認められない。
4. 催告は、行政庁が期限を示して行うものであるため、当然に処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政事件訴訟法3条の処分性判断は、 国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうか が基準となる。 通知・催告は、通常は事実上の影響にとどまり、法的効果を伴わないため、 原則として処分性は認められない。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
通知は行政庁の行為だが、法的効果を伴わない限り処分性はない。
2:誤り
事実上の不利益では足りない。 必要なのは法的効果。
3:正しい
通知・催告は、法的効果がなければ処分性なし。 処分性判断の王道基準。
4:誤り
期限を示しても、法的効果がなければ処分性は認められない。
【判例ポイント】
結論:通知・催告は、法的効果がなければ処分性なし。
理由:行政事件訴訟は法的効果を争う制度であり、事実上の不利益だけでは足りない。
事案:税務署の催告書は、法的効果を伴わないとして処分性が否定された判例。
【第107問】行政契約の処分性(行政契約は原則として処分性なし)
問:行政契約の「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政契約は行政庁が行う行為であるため、常に処分性が認められる。
2. 行政契約は、私人との対等な立場で締結されるため、原則として処分性は認められない。
3. 行政契約は、行政庁が契約内容を一方的に決定するため、処分性が認められる。
4. 行政契約は、契約違反があった場合、行政庁が行政罰を科すことができるため処分性が認められる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政契約は、行政庁が私人と対等な立場で締結する契約であり、 行政行為のような一方的な法的効果の付与は行わない。 そのため、原則として処分性は認められない。
【根拠法令】
・民法(契約の一般原則)
・行政法理論(行政契約の性質)
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政契約は行政庁の行為だが、対等な契約関係であり、処分性はない。
2:正しい
行政契約は私人と対等な立場で締結されるため、原則として処分性なし。
3:誤り
行政契約は一方的に決定されるものではなく、双方の合意が必要。 一方的に義務を課すのは行政行為。
4:誤り
行政契約違反に行政罰は科せない。 契約違反は民事上の責任(損害賠償・解除)で処理される。
【判例ポイント】
結論:行政契約は対等な契約であり、処分性は認められない。
理由:行政行為のような一方的な法的効果を伴わないため。
事案:指定管理者制度の協定が行政契約とされ、処分性が否定された判例。
【第108問】行政計画の処分性(都市計画決定などは原則として処分性なし)
問:行政計画の「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政計画は行政庁が定めるものであるため、常に処分性が認められる。
2. 行政計画は、私人に事実上の不利益を与える場合には必ず処分性が認められる。
3. 行政計画は、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさない限り、処分性は認められない。
4. 都市計画決定は、行政計画であるため、私人に対する法的効果の有無にかかわらず処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政計画(都市計画決定・用途地域指定など)は、 将来の行政活動の指針を定めるにすぎず、国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼさない ため、原則として処分性は認められない。 処分性判断は、行政事件訴訟法3条の「法的効果の有無」が基準となる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・都市計画法(行政計画の典型例)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政計画は行政庁の行為だが、法的効果を伴わないため処分性はない。
2:誤り
事実上の不利益では足りない。 必要なのは直接の法的効果。
3:正しい
行政計画は、法的効果がなければ処分性なし。 処分性判断の王道基準。
4:誤り
都市計画決定は行政計画であり、私人の権利義務に直接の法的効果を及ぼさない限り処分性は認められない。
【判例ポイント】
結論:行政計画は原則として処分性なし。
理由:行政計画は将来の行政活動の指針であり、法的効果を伴わないため。
事案:用途地域指定などの都市計画決定は、処分性が否定された判例が多数。
【第109問】行政指導と処分性の境界(事実上の強制がある場合)
問:行政指導と処分性の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は任意の協力を求めるものであるため、行政庁が強く要請しても処分性が認められることはない。
2. 行政指導に従わない者に対して行政庁が不利益な取扱いを示唆した場合、事実上の強制となり違法となる可能性がある。
3. 行政指導は行政庁の行為であるため、常に処分性が認められる。
4. 行政指導は、行政庁が文書で行った場合には処分性が認められる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政指導は任意協力が前提であり、 従わないことを理由に不利益を示唆したり、事実上の強制を行うことは違法 とされる(最判昭和53.3.14)。 ただし、行政指導自体に処分性が認められるわけではない。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法36条(不利益取扱いの禁止)
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政庁が強く要請し、事実上の強制となれば違法。 ただし処分性が認められるわけではない。
2:正しい
不利益示唆は事実上の強制となり、行政指導の任意性を損なうため違法。
3:誤り
行政指導は法的拘束力を持たない非権力的行為であり、処分性は原則なし。
4:誤り
文書で行っても、法的効果がなければ処分性は認められない。
【判例ポイント】
結論:行政指導は任意協力が前提であり、事実上の強制は違法。
理由:行政指導が実質的に行政処分と同様の強制力を持つことを防ぐため。
事案:行政指導に従わない企業に許認可の不利益を示唆した行為が違法とされた判例(最判昭和53.3.14)。
【第110問】行政行為の附款の処分性(負担の独立取消性)
問:行政行為に付される「附款」の処分性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 負担は行政行為の本体と不可分であり、負担のみを取消訴訟で争うことはできない。
2. 条件は行政行為の効力の発生・消滅を左右するため、常に独立して争うことができる。
3. 負担は行政行為の本体と可分であり、負担のみを取消訴訟で争うことができる。
4. 期限は行政行為の内容を追加的に義務付ける附款であり、処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
負担は、行政行為の本体に付随して課される追加的義務であり、 本体と可分であるため、 負担のみを取消訴訟で争うことができる(最判昭和39.10.29)。 これは「負担の独立取消性」と呼ばれる重要な判例理論。
【根拠法令・理論】
・行政法理論(附款:条件・期限・負担)
・行政事件訴訟法(処分性の判断基準)
・最判昭和39.10.29(負担の独立取消性)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
負担は本体と可分であり、負担のみを争うことができる。
2:誤り
条件は行政行為の効力の発生・消滅を左右するため、 本体と不可分であり、独立取消性は認められない。
3:正しい
負担は追加的義務であり、本体と可分。 したがって負担のみを取消訴訟で争うことが可能。
4:誤り
期限は効力の開始・終了時期を定める附款であり、 追加的義務ではないため処分性は認められない。
【判例ポイント】
結論:負担は本体と可分であり、独立して取消訴訟の対象となる。
理由:負担は追加的義務であり、本体の効力とは別に私人に不利益を与えるため。
事案:許可に付された負担のみを争うことが認められた判例(最判昭和39.10.29)。
【第111問】行政行為の撤回と取消(瑕疵ある行政行為の扱い)
問:行政行為の「撤回」と「取消」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為の撤回は、行政行為に瑕疵がある場合に限り行うことができる。
2. 行政行為の取消は、行政行為に瑕疵がある場合に行われ、原則として遡及効を有する。
3. 行政行為の撤回は、行政目的の変更など公益上の必要がある場合に行われ、原則として遡及効を有する。
4. 行政行為の取消は、行政庁が自由裁量で行うことができ、瑕疵の有無は問われない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政行為の取消は、行政行為に瑕疵がある場合に行われ、 その効果は原則として遡及する(遡及効)。 一方、撤回は瑕疵がなくても公益上の必要があれば可能で、 原則として不遡及である。
【根拠法令・理論】
・行政法理論(行政行為の撤回・取消)
・行政手続法(理由提示・不利益処分)
・判例(撤回の不遡及・取消の遡及)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
撤回は瑕疵がなくても公益上の必要があれば可能。
2:正しい
取消は瑕疵ある行政行為に対して行われ、 原則として遡及効を持つ。
3:誤り
撤回は公益上の必要があれば可能だが、 原則として不遡及である。
4:誤り
取消は瑕疵がある場合に限られる。 行政庁の自由裁量で瑕疵のない行政行為を取消すことはできない。
【判例ポイント】
結論:取消は瑕疵ある行政行為に対して行われ、遡及効を持つ。
理由:瑕疵ある行政行為は本来無効であるべき状態にあるため。
事案:建築確認取消処分の遡及効が問題となった判例。
【第112問】無効確認訴訟(行政事件訴訟法36条:重大かつ明白な瑕疵)
問:行政行為の「無効確認訴訟」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 無効確認訴訟は、取消訴訟と同様に出訴期間(6か月)の制限を受ける。
2. 無効確認訴訟は、行政行為に重大な瑕疵があれば、明白でなくても提起できる。
3. 無効確認訴訟は、行政行為が重大かつ明白な瑕疵により無効である場合に提起できる。
4. 無効確認訴訟は、行政庁が行政行為を無効と宣言した後でなければ提起できない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政事件訴訟法36条は、 行政行為が重大かつ明白な瑕疵により無効である場合 に無効確認訴訟を認めている。 また、取消訴訟と異なり、出訴期間の制限を受けない点が大きな特徴。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法36条(無効確認訴訟)
・行政事件訴訟法14条(取消訴訟の出訴期間)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
無効確認訴訟には出訴期間の制限がない。 制限があるのは取消訴訟(14条)。
2:誤り
無効となるには「重大」だけでは足りず、重大かつ明白である必要がある。
3:正しい
無効確認訴訟は、行政行為が重大かつ明白な瑕疵により無効である場合に提起できる。
4:誤り
無効は行政庁の宣言を待つ必要はなく、客観的に無効であれば訴えを提起できる。
【判例ポイント】
結論:無効確認訴訟は「重大かつ明白な瑕疵」が必要。
理由:行政行為の安定性を確保するため、無効の範囲は限定される。
事案:建築確認処分の瑕疵が争われ、重大だが明白でないとして無効は否定された判例。
【第113問】義務付け訴訟(行政事件訴訟法37条の2:処分を求める訴訟)
問:行政事件訴訟法における「義務付け訴訟」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 義務付け訴訟は、行政庁が行った処分の取消しを求める訴訟である。
2. 義務付け訴訟は、行政庁に一定の処分を行う義務があることを確認する訴訟である。
3. 義務付け訴訟は、行政庁に一定の処分を行うよう裁判所に命じてもらうための訴訟である。
4. 義務付け訴訟は、無効確認訴訟と同様に、出訴期間の制限を受けない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
義務付け訴訟(行政事件訴訟法37条の2)は、 行政庁に一定の処分を行うよう裁判所に命じてもらう訴訟。 「確認」ではなく「命じる」点が重要で、取消訴訟・無効確認訴訟とは目的が異なる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法37条の2(義務付け訴訟)
・行政事件訴訟法3条(抗告訴訟の種類)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
処分の取消しを求めるのは取消訴訟。
2:誤り
「義務があることを確認する訴訟」ではなく、 行政庁に処分を行わせる訴訟。
3:正しい
義務付け訴訟は、行政庁に一定の処分を行うよう裁判所に命じてもらう訴訟。
4:誤り
義務付け訴訟は、取消訴訟と同様に出訴期間の制限を受ける場合がある。 無効確認訴訟とは異なる。
【判例ポイント】
結論:義務付け訴訟は、行政庁に処分を行わせるための訴訟。
理由:取消訴訟では救済できない「不作為」への対応として創設された制度。
事案:建築確認申請の不許可・不作為に対し、義務付け訴訟が認められた判例。
【第114問】差止訴訟の要件(行政事件訴訟法37条の4:重大な損害のおそれ)
問:行政事件訴訟法における「差止訴訟」の要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 差止訴訟は、処分が違法であることが明白でなければ提起できない。
2. 差止訴訟は、将来されるべき処分により重大な損害が生じるおそれがある場合に提起できる。
3. 差止訴訟は、すでに行われた処分の取消しを求める訴訟である。
4. 差止訴訟は、処分の相手方に限り提起することができる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
差止訴訟(行政事件訴訟法37条の4)は、 将来されるべき処分により重大な損害が生じるおそれがある場合 に、その処分の差止めを求める訴訟である。 取消訴訟では救済が間に合わない場面を補完する制度。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法37条の4(差止訴訟)
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
差止訴訟に「違法性の明白さ」は不要。 必要なのは重大な損害のおそれ+回避の必要性。
2:正しい
差止訴訟は、将来の処分による重大な損害のおそれが要件。
3:誤り
過去の処分を争うのは取消訴訟。 差止訴訟は未来の処分が対象。
4:誤り
原告適格は処分の相手方に限られず、 法律上の利益があれば第三者も提起できる。
【判例ポイント】
結論:差止訴訟は、将来の処分による重大な損害を防ぐための制度。
理由:取消訴訟では救済が間に合わない場合があるため。
事案:将来の行政処分により重大な環境被害が生じるおそれがあるとして差止めが争われた判例。
【第115問】仮の義務付け・仮の差止め(行政事件訴訟法37条の5・37条の6)
問:行政事件訴訟法における「仮の義務付け・仮の差止め」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 仮の義務付けは、行政庁に処分を行う義務があることを確認する訴訟である。
2. 仮の差止めは、将来されるべき処分の差止めを求める本案訴訟である。
3. 仮の義務付け・仮の差止めは、訴訟の実効性を確保するために、緊急の必要がある場合に認められる。
4. 仮の義務付け・仮の差止めは、処分が違法であることが明白でなければ認められない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
仮の義務付け(37条の5)・仮の差止め(37条の6)は、 訴訟の実効性を確保するために、緊急の必要がある場合 に認められる制度。 本案判決を待っていては回復困難な損害が生じる場合に、暫定的に救済を与える。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法37条の5(仮の義務付け)
・行政事件訴訟法37条の6(仮の差止め)
・行政事件訴訟法25条(執行停止)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
義務付け訴訟は本案。 仮の義務付けは暫定的救済であり、確認訴訟ではない。
2:誤り
将来の処分を止める本案訴訟は差止訴訟(37条の4)。 仮の差止めはあくまで暫定的措置。
3:正しい
仮の義務付け・仮の差止めは、 緊急性+回復困難な損害のおそれ が要件となる。
4:誤り
「違法性の明白さ」は不要。 必要なのは損害の回避の必要性と公益の比較衡量。
【判例ポイント】
結論:仮の義務付け・仮の差止めは、訴訟の実効性確保のための暫定的救済。
理由:本案判決を待つと回復困難な損害が生じる場合があるため。
事案:建築確認の不作為に対し、工事遅延による重大損害を理由に仮の義務付けが認められた判例。
【第116問】執行停止(行政事件訴訟法25条:回復困難な損害)
問:行政事件訴訟法における「執行停止」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 執行停止は、取消訴訟を提起すれば当然に認められる。
2. 執行停止は、処分の執行により回復困難な損害が生じるおそれがある場合に認められる。
3. 執行停止は、行政庁の承諾がある場合に限り裁判所が決定できる。
4. 執行停止は、無効確認訴訟に付随してのみ認められる制度である。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
執行停止(行政事件訴訟法25条)は、 処分の執行により回復困難な損害が生じるおそれがある場合 に、裁判所が処分の効力・執行を一時的に止める制度である。 取消訴訟の実効性を確保するための重要な制度。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法25条(執行停止)
・行政事件訴訟法27条(仮の救済)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
取消訴訟を提起しても、執行停止は当然には認められない。 要件を満たす必要がある。
2:正しい
執行停止の中心要件は、回復困難な損害のおそれ+緊急性。
3:誤り
行政庁の承諾は不要。 裁判所が独自に判断する。
4:誤り
執行停止は取消訴訟に付随する制度であり、 無効確認訴訟だけの制度ではない。
【判例ポイント】
結論:執行停止は、取消訴訟の実効性確保のための制度。
理由:処分の執行が進むと、後から取消しても救済が間に合わない場合があるため。
事案:建築確認取消訴訟で、工事が進むと回復困難な損害が生じるとして執行停止が認められた判例。
【第117問】取消訴訟の訴えの利益(現在の法律上の利益)
問:取消訴訟における「訴えの利益」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 訴えの利益は、処分が違法であれば常に認められる。
2. 訴えの利益は、処分の取消しにより原告の法律上の地位が回復する可能性がある場合に認められる。
3. 訴えの利益は、処分が社会的に不当であると感じる場合に認められる。
4. 訴えの利益は、処分の相手方に限り認められ、第三者には認められない。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
取消訴訟の訴えの利益は、 処分を取り消すことで原告の法律上の地位が回復する可能性があるかどうか で判断される(行政事件訴訟法9条)。 単なる不満や社会的評価の問題では足りず、 現在の法律上の利益 が必要とされる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・行政事件訴訟法10条(第三者の原告適格)
・判例(現在の法律上の利益)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
違法であっても、法律上の利益がなければ訴えの利益は認められない。
2:正しい
取消により原告の法律上の地位が回復する可能性があれば、訴えの利益あり。
3:誤り
「社会的に不当」「気に入らない」などは、事実上の利害であり足りない。
4:誤り
第三者でも、法令の趣旨に照らして保護される利益があれば訴えの利益が認められる。
【判例ポイント】
結論:訴えの利益は「現在の法律上の利益」が必要。
理由:取消訴訟は抽象的違法性の審査ではなく、具体的救済を目的とするため。
事案:建築確認取消訴訟で、隣地住民の生活環境利益が「法律上の利益」と認められた判例。
【第118問】原告適格(法律上の利益:環境利益・景観利益)
問:取消訴訟における「原告適格(法律上の利益)」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 原告適格は、処分の相手方に限られ、第三者には認められない。
2. 原告適格は、処分により事実上の不利益を受ける者にも広く認められる。
3. 原告適格は、当該法令の趣旨・目的から保護される利益に該当する場合に認められる。
4. 原告適格は、環境利益や景観利益のような公益的利益には認められない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
原告適格(行政事件訴訟法9条)は、 当該法令の趣旨・目的から保護される利益(法律上の利益) を有する者に認められる。 判例は、環境利益・景観利益なども、法令の趣旨に照らして保護される場合には 法律上の利益として認める方向に拡大している。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・行政事件訴訟法10条(第三者の原告適格)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
原告適格は第三者にも認められる場合がある。 例:隣地住民の建築確認取消訴訟。
2:誤り
必要なのは事実上の不利益ではなく、法律上の利益。 単なる不満・経済的不利益では足りない。
3:正しい
法令の趣旨・目的から保護される利益に該当すれば、 第三者でも原告適格が認められる。
4:誤り
環境利益・景観利益も、法令の趣旨に照らして保護される場合には 法律上の利益として認められる(判例)。
【判例ポイント】
結論:原告適格は「法律上の利益」を基準に広く認められる方向。
理由:環境・景観などの利益も、法令の趣旨に照らして保護される場合があるため。
事案:隣地住民の生活環境利益が法律上の利益として認められた判例(最判平成17.12.7)。
【第119問】処分性の判断基準(法的効果の有無)
問:行政事件訴訟法における「処分性」の判断基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁が行う行為は、文書で行われたものであればすべて処分性が認められる。
2. 行政指導は、行政庁が強く要請した場合には必ず処分性が認められる。
3. 処分性は、当該行為が国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうかで判断される。
4. 行政契約は行政庁が関与するため、常に処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
処分性は、行政事件訴訟法3条に基づき、 当該行為が国民の権利義務に直接の法的効果を及ぼすかどうか によって判断される。 行政指導・行政契約・行政計画などは、原則として法的効果を伴わないため処分性は否定される。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
文書で行われても、法的効果がなければ処分性は認められない。 例:行政指導の文書化。
2:誤り
行政指導は、強い要請があっても法的拘束力がない限り処分性は否定される。 (事実上の強制は違法だが、処分性とは別問題)
3:正しい
処分性の核心は、直接の法的効果の有無。 行政事件訴訟法3条の基本基準。
4:誤り
行政契約は私人との対等な契約であり、原則として処分性なし。
【判例ポイント】
結論:処分性は「法的効果の有無」で判断される。
理由:行政事件訴訟は法的効果を争う制度であり、事実上の影響だけでは足りない。
事案:行政指導の文書が処分性を否定された判例(最判平成14.1.17)。
【第120問】不作為の違法確認訴訟(行政事件訴訟法3条6号)
問:行政事件訴訟法における「不作為の違法確認訴訟」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 不作為の違法確認訴訟は、行政庁が行った処分の取消しを求める訴訟である。
2. 不作為の違法確認訴訟は、行政庁がすべき処分をしないことが違法であることの確認を求める訴訟である。
3. 不作為の違法確認訴訟は、行政庁に処分を行うよう命じる訴訟である。
4. 不作為の違法確認訴訟は、出訴期間の制限を受ける。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
不作為の違法確認訴訟(行政事件訴訟法3条6号)は、 行政庁がすべき処分をしないことが違法であることの確認 を求める訴訟である。 義務付け訴訟の前段階として位置づけられ、処分を命じる訴訟ではない。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条6号(不作為の違法確認訴訟)
・行政事件訴訟法37条の2(義務付け訴訟)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
処分の取消しを求めるのは取消訴訟。
2:正しい
不作為の違法確認訴訟は、行政庁が処分をしないことの違法性の確認を求める訴訟。
3:誤り
行政庁に処分を命じるのは義務付け訴訟(37条の2)。
4:誤り
不作為の違法確認訴訟には出訴期間の制限はない。 (取消訴訟とは異なる)
【判例ポイント】
結論:不作為の違法確認訴訟は、行政庁が処分をしないことの違法性を確認する訴訟。
理由:義務付け訴訟の前提として、不作為が違法であることの確認が必要な場合があるため。
事案:建築確認申請に対する不作為が違法とされた判例。
【第121問】義務付け訴訟の要件(行政事件訴訟法37条の2)
問:行政事件訴訟法における「義務付け訴訟」の要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 義務付け訴訟は、行政庁に処分を行う義務があることを確認する訴訟である。
2. 義務付け訴訟は、行政庁がすべき処分をしないことが違法であることの確認を求める訴訟である。
3. 義務付け訴訟は、行政庁に一定の処分を行うよう裁判所に命じてもらう訴訟である。
4. 義務付け訴訟は、処分が違法であることが明白でなければ提起できない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
義務付け訴訟(行政事件訴訟法37条の2)は、 行政庁に一定の処分を行うよう裁判所に命じてもらう訴訟である。 不作為の違法確認訴訟とは異なり、 「確認」ではなく実際に処分を行わせることが目的となる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法37条の2(義務付け訴訟)
・行政事件訴訟法3条(抗告訴訟の種類)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
義務付け訴訟は「義務があることの確認」ではなく、 行政庁に処分を行わせる訴訟。
2:誤り
これは不作為の違法確認訴訟(3条6号)の説明。
3:正しい
義務付け訴訟は、行政庁に一定の処分を行うよう 裁判所に命じてもらう訴訟である。
4:誤り
「違法性の明白さ」は不要。 必要なのは、処分を行うべき法的義務の存在+重大な損害の回避など。
【判例ポイント】
結論:義務付け訴訟は、行政庁に処分を行わせるための訴訟。
理由:取消訴訟や不作為の違法確認訴訟では救済できない場合があるため。
事案:建築確認申請の不作為に対し、義務付けが認められた判例。
【第122問】差止訴訟の要件(行政事件訴訟法37条の4)
問:行政事件訴訟法における「差止訴訟」の要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 差止訴訟は、処分が違法であることが明白でなければ提起できない。
2. 差止訴訟は、すでに行われた処分の取消しを求める訴訟である。
3. 差止訴訟は、将来されるべき処分により重大な損害が生じるおそれがある場合に提起できる。
4. 差止訴訟は、処分の相手方に限り提起することができる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
差止訴訟(行政事件訴訟法37条の4)は、 将来されるべき処分により重大な損害が生じるおそれ がある場合に、その処分の差止めを求める訴訟である。 取消訴訟では救済が間に合わない場面を補完する制度。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法37条の4(差止訴訟)
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
差止訴訟に「違法性の明白さ」は不要。 必要なのは重大な損害のおそれ+回避の必要性。
2:誤り
過去の処分を争うのは取消訴訟。 差止訴訟は未来の処分が対象。
3:正しい
差止訴訟は、将来の処分による重大な損害のおそれが要件。
4:誤り
原告適格は処分の相手方に限られず、 法律上の利益があれば第三者も提起できる。
【判例ポイント】
結論:差止訴訟は、将来の処分による重大な損害を防ぐための制度。
理由:取消訴訟では救済が間に合わない場合があるため。
事案:将来の行政処分により重大な環境被害が生じるおそれがあるとして差止めが争われた判例。
【第123問】仮の義務付け・仮の差止め(行政事件訴訟法37条の5・37条の6)
問:行政事件訴訟法における「仮の義務付け・仮の差止め」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 仮の義務付けは、行政庁に処分を行う義務があることを確認する訴訟である。
2. 仮の差止めは、将来されるべき処分の差止めを求める本案訴訟である。
3. 仮の義務付け・仮の差止めは、訴訟の実効性を確保するため、緊急の必要がある場合に認められる。
4. 仮の義務付け・仮の差止めは、処分が違法であることが明白でなければ認められない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
仮の義務付け(37条の5)・仮の差止め(37条の6)は、 訴訟の実効性を確保するため、緊急の必要がある場合 に認められる暫定的救済制度である。 本案判決を待つと回復困難な損害が生じる場合に利用される。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法37条の5(仮の義務付け)
・行政事件訴訟法37条の6(仮の差止め)
・行政事件訴訟法25条(執行停止)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
義務付け訴訟は本案。 仮の義務付けは暫定的救済であり、確認訴訟ではない。
2:誤り
将来の処分を止める本案訴訟は差止訴訟(37条の4)。 仮の差止めはあくまで暫定措置。
3:正しい
仮の義務付け・仮の差止めは、 緊急性+回復困難な損害のおそれ が要件となる。
4:誤り
「違法性の明白さ」は不要。 必要なのは損害の回避の必要性と公益の比較衡量。
【判例ポイント】
結論:仮の義務付け・仮の差止めは、訴訟の実効性確保のための暫定的救済。
理由:本案判決を待つと回復困難な損害が生じる場合があるため。
事案:建築確認の不作為に対し、工事遅延による重大損害を理由に仮の義務付けが認められた判例。
【第124問】処分性の例外(行政指導・行政契約・行政計画)
問:行政事件訴訟法における「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は、行政庁が強く要請した場合には必ず処分性が認められる。
2. 行政契約は、行政庁が関与するため常に処分性が認められる。
3. 行政計画は、原則として処分性が認められない。
4. 行政指導・行政契約・行政計画は、いずれも私人に影響を与えるため処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政計画(都市計画、河川計画など)は、 一般的・抽象的な方針を示すにとどまり、直接の法的効果を持たないため、 原則として処分性は認められない。 処分性の判断基準は「直接の法的効果の有無」である。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は、強い要請があっても法的拘束力がない限り処分性は否定される。 (事実上の強制は違法だが、処分性とは別問題)
2:誤り
行政契約は私人との対等な契約であり、原則として処分性なし。
3:正しい
行政計画は一般的・抽象的で、直接の法的効果を持たないため処分性は否定される。
4:誤り
私人に影響があっても、法的効果がなければ処分性は認められない。
【判例ポイント】
結論:行政計画は原則として処分性なし。
理由:一般的・抽象的な方針であり、個別具体的な法的効果を持たないため。
事案:都市計画決定は処分性が否定された判例(最判昭和50.5.20)。
【第125問】行政指導の適法性(行政手続法32条〜36条)
問:行政手続法における「行政指導の適法性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は、行政庁が目的達成のために必要と判断すれば、相手方に義務を課すことができる。
2. 行政指導は、行政庁が文書で行った場合には、処分としての法的拘束力を持つ。
3. 行政指導は、相手方が行政指導に従わないことを理由として不利益な取扱いをしてはならない。
4. 行政指導は、行政庁が私人に対して強制的に従わせることができる制度である。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法32条〜36条は、行政指導の適正な運用を定めており、 行政指導に従わないことを理由に不利益取扱いをしてはならない(行政手続法32条2項) と明確に規定している。 行政指導はあくまで「任意の協力」を求めるものであり、法的拘束力はない。
【根拠法令】
・行政手続法32条(行政指導の一般原則)
・行政手続法33条(行政指導の方式)
・行政手続法34条(行政指導の中止)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は義務を課すことはできない。 義務を課すには処分(命令)による必要がある。
2:誤り
文書で行っても法的拘束力は生じない。 行政指導はあくまで任意。
3:正しい
行政指導に従わないことを理由に不利益取扱いをすることは禁止(32条2項)。
4:誤り
行政指導は強制できない。 強制するなら処分(命令)として行うべき。
【判例ポイント】
結論:行政指導は任意の協力を求めるものであり、強制や不利益取扱いは禁止。
理由:行政指導は処分ではなく、法的拘束力を持たないため。
事案:行政指導に従わない事業者に対し、許認可で不利益を与えた行為が違法とされた判例。
【第126問】行政計画の処分性(都市計画決定など)
問:行政計画の「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政計画は、行政庁が定めるものであるため、常に処分性が認められる。
2. 行政計画は、私人に事実上の影響を与える場合には、処分性が認められる。
3. 行政計画は、一般的・抽象的な方針にとどまるため、原則として処分性は認められない。
4. 行政計画は、私人の権利義務に直接の法的効果を及ぼさなくても、処分性が認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政計画(都市計画、河川計画など)は、 一般的・抽象的な方針を示すにとどまり、私人の権利義務に直接の法的効果を及ぼさないため、 原則として処分性は認められない。 処分性の判断基準は「直接の法的効果の有無」である。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政計画は行政庁が定めるが、処分性は原則否定される。
2:誤り
事実上の影響では足りない。 必要なのは法的効果。
3:正しい
行政計画は一般的・抽象的で、直接の法的効果を持たないため処分性は否定される。
4:誤り
処分性は「法的効果」が基準。 法的効果がなければ処分性は認められない。
【判例ポイント】
結論:行政計画は原則として処分性なし。
理由:一般的・抽象的な方針であり、個別具体的な法的効果を持たないため。
事案:都市計画決定は処分性が否定された判例(最判昭和50.5.20)。
【第127問】行政契約と行政行為の区別(処分性の有無)
問:行政契約と行政行為の区別に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政契約は、行政庁が関与するため、常に処分性が認められる。
2. 行政契約は、私人との対等な立場で締結されるため、原則として処分性は認められない。
3. 行政契約は、行政庁が契約内容を一方的に決定するため、行政行為と同様に法的拘束力を持つ。
4. 行政契約は、契約違反があった場合、行政庁が行政罰を科すことができる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政契約は、行政庁と私人が対等な立場で締結する契約であり、 行政行為のような一方的な法的効果を持たないため、 原則として処分性は認められない。 契約違反は民事上の問題として扱われる。
【根拠法令】
・民法(契約の一般原則)
・行政法理論(行政契約の一般原則)
・地方自治法244条の2(指定管理者制度)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政庁が関与しても、対等な契約である以上、処分性は原則否定。
2:正しい
行政契約は私人との対等な契約であり、処分性は認められない。
3:誤り
行政契約は一方的ではなく、双方の合意が必要。 行政行為とは性質が異なる。
4:誤り
契約違反に行政罰は科せない。 民事上の責任(損害賠償・契約解除)で処理される。
【判例ポイント】
結論:行政契約は対等な契約であり、処分性は原則否定。
理由:行政行為のような一方的な法的効果を持たないため。
事案:指定管理者制度の協定が行政契約とされ、処分性が否定された判例。
【第128問】行政行為の告知(到達主義・効力発生時期)
問:行政行為の効力発生時期に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為は、行政庁が処分書を作成した時点で効力を生じる。
2. 行政行為は、相手方が処分内容を理解した時点で効力を生じる。
3. 行政行為は、相手方に告知が到達した時点で効力を生じる。
4. 行政行為は、相手方が受け取りを拒否した場合、効力は生じない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政行為の効力発生は到達主義が原則であり、 相手方に告知が到達した時点で効力を生じる。 理解の有無や受領の意思は関係しない。
【根拠法令】
・行政手続法15条(処分の通知)
・行政事件訴訟法(処分性・出訴期間の起算点)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
処分書の作成時点では効力は生じない。 告知が到達して初めて効力が発生する。
2:誤り
相手方が理解したかどうかは関係ない。 理解の有無は効力発生に影響しない。
3:正しい
行政行為の効力発生は到達主義が原則。
4:誤り
受け取り拒否をしても、通常到達すべき時点で到達したものとみなされる(判例)。
【判例ポイント】
結論:行政行為の効力発生は到達主義。
理由:相手方の恣意的な受領拒否で行政行為の効力が左右されるのを防ぐため。
事案:処分書の受領拒否があったが、通常到達時点で到達と認められた判例。
【第129問】行政行為の公定力(違法でも一応有効)
問:行政行為の「公定力」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為は、違法であれば当然に無効となり、公定力は及ばない。
2. 行政行為は、裁判所が取消すまでは、たとえ違法であっても一応有効と扱われる。
3. 行政行為の公定力は、行政庁内部にのみ及び、私人には及ばない。
4. 行政行為の公定力は、行政庁が撤回した時点で遡って失われる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政行為の公定力とは、 行政行為が違法であっても、裁判所が取消すまでは一応有効として扱われるという効力である。 行政の安定性を確保するための重要な原則。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法(取消訴訟の制度趣旨)
・行政法理論(公定力)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
違法=無効ではない。 無効となるのは「重大かつ明白な瑕疵」がある場合のみ。
2:正しい
行政行為は、裁判所が取消すまでは一応有効として扱われる(公定力)。
3:誤り
公定力は私人間の法律関係にも及ぶ。 例:建築確認の有効性。
4:誤り
撤回は将来効が原則であり、遡及しない。 公定力が遡って失われるわけではない。
【判例ポイント】
結論:行政行為は、違法であっても取消されるまでは有効として扱われる。
理由:行政の安定性と迅速性を確保するため。
事案:違法な建築確認であっても、取消されるまでは有効として扱われた判例。
3:誤り
公定力は私人間の法律関係にも及ぶ。 例:建築確認の有効性。
4:誤り
撤回は将来効が原則であり、遡及しない。 公定力が遡って失われるわけではない。
【判例ポイント】
結論:行政行為は、違法であっても取消されるまでは有効として扱われる。
理由:行政の安定性と迅速性を確保するため。
事案:違法な建築確認であっても、取消されるまでは有効として扱われた判例。
【第130問】行政行為の不可争力(出訴期間経過後の扱い)
問:行政行為の「不可争力」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為は、違法であれば出訴期間を過ぎてもいつでも争うことができる。
2. 行政行為は、出訴期間を経過すると、原則として争うことができなくなる。
3. 行政行為の不可争力は、行政庁内部にのみ及び、私人には及ばない。
4. 行政行為の不可争力は、行政行為が無効である場合にも適用される。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政行為は、取消訴訟の出訴期間(行政事件訴訟法14条)を経過すると、 原則として争うことができなくなる(不可争力)。 行政の安定性を確保するための制度であり、違法であっても期間徒過後は原則として争えない。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法14条(出訴期間)
・行政法理論(不可争力の原則)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
違法でも、出訴期間を過ぎれば原則として争えない。 例外は「無効」や「不服申立て期間の例外」など。
2:正しい
不可争力とは、出訴期間経過後は争えないという効力。 行政の安定性を確保するための制度。
3:誤り
不可争力は私人にも及ぶ。 私人は期間徒過後、原則として取消訴訟を提起できない。
4:誤り
無効な行政行為には不可争力は及ばない。 無効はいつでも誰でも主張できる(抗弁としても可)。
【判例ポイント】
結論:不可争力は、出訴期間経過後に行政行為を争えなくする効力。
理由:行政処分の安定性を確保するため。
事案:処分を知った日から6か月を経過した後の提訴が不適法とされた判例。
【第131問】行政行為の第三者効(対世効)と原告適格の関係
問:行政行為の「第三者効(対世効)」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為は、処分の相手方にのみ法的効果を及ぼし、第三者には一切影響を及ぼさない。
2. 行政行為が第三者に事実上の影響を与える場合、第三者は必ず原告適格を有する。
3. 行政行為は、第三者にも一定の法的効果を及ぼすことがあり、その場合、第三者に原告適格が認められることがある。
4. 行政行為の第三者効は、行政庁内部の効力に限られ、私人間の法律関係には及ばない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政行為には対世効(第三者効)があり、 処分の相手方以外の第三者にも一定の法的効果を及ぼすことがある。 そのため、第三者であっても、 法令の趣旨から保護される利益(法律上の利益)があれば原告適格が認められる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・行政事件訴訟法10条(第三者の原告適格)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政行為は第三者にも法的効果を及ぼすことがある(例:建築確認)。
2:誤り
事実上の影響だけでは足りず、必要なのは法律上の利益。
3:正しい
行政行為が第三者にも法的効果を及ぼす場合、 その第三者に原告適格が認められることがある。
4:誤り
行政行為は私人間の法律関係にも影響を及ぼすことがある(例:建築確認の有効性)。
【判例ポイント】
結論:行政行為は第三者にも一定の法的効果を及ぼし、原告適格が認められる場合がある。
理由:行政行為は社会的影響が大きく、第三者の権利利益にも関わるため。
事案:隣地住民が建築確認処分の取消を求め、法律上の利益が認められた判例(最判平成17.12.7)。
【第132問】無効確認訴訟(行政事件訴訟法36条:重大かつ明白な瑕疵)
問:行政事件訴訟法における「無効確認訴訟」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 無効確認訴訟は、取消訴訟と同様に出訴期間の制限を受ける。
2. 無効確認訴訟は、行政行為に重大かつ明白な瑕疵がある場合に提起できる。
3. 無効確認訴訟は、行政庁が処分を撤回した後でなければ提起できない。
4. 無効確認訴訟は、処分の相手方に限り提起できる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
無効確認訴訟(行政事件訴訟法36条)は、 行政行為に重大かつ明白な瑕疵がある場合に、その無効を確認する訴訟である。 取消訴訟とは異なり、出訴期間の制限を受けない点が大きな特徴。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法36条(無効確認訴訟)
・行政事件訴訟法14条(取消訴訟の出訴期間)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
無効確認訴訟には出訴期間の制限はない。 取消訴訟(6か月)とは異なる。
2:正しい
無効となるのは、瑕疵が重大かつ明白な場合に限られる(判例)。
3:誤り
撤回の有無は関係ない。 無効は客観的に無効であり、行政庁の判断を待つ必要はない。
4:誤り
無効確認訴訟は、処分の相手方に限られず、 法律上の利益があれば第三者も提起できる。
【判例ポイント】
結論:無効確認訴訟は、重大かつ明白な瑕疵がある場合に限り認められる。
理由:行政行為の安定性を確保するため、無効の範囲は限定される。
事案:建築確認処分の瑕疵が争われ、重大だが明白でないとして無効は否定された判例。
【第133問】取消訴訟の訴えの利益(現在の法律上の利益)
問:取消訴訟の「訴えの利益」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 訴えの利益は、処分が違法であれば常に認められる。
2. 訴えの利益は、処分の効果がすでに消滅していても、原則として認められる。
3. 訴えの利益は、処分の取消しにより原告の法律上の地位が回復する場合に認められる。
4. 訴えの利益は、処分の相手方に限り認められる。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
取消訴訟の訴えの利益とは、 処分を取り消すことで原告の法律上の地位が回復する現在の利益 をいう。 処分の効果がすでに消滅している場合は、原則として訴えの利益は失われる。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・行政事件訴訟法10条(第三者の原告適格)
・判例法理(現在の法律上の利益)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
違法であっても、現在の法律上の利益がなければ訴えの利益は認められない。
2:誤り
処分の効果が消滅している場合、原則として訴えの利益は失われる。 例外は「再発のおそれ」など。
3:正しい
取消しにより原告の法律上の地位が回復する場合、訴えの利益が認められる。
4:誤り
訴えの利益は第三者にも認められる場合がある(法律上の利益があれば)。
【判例ポイント】
結論:訴えの利益は「現在の法律上の利益」が必要。
理由:取消判決は原告の法的地位を回復するための制度であるため。
事案:建築確認取消訴訟で、建物が完成していたため訴えの利益が否定された判例。
【第134問】取消訴訟の対象(処分性:行政指導・通知・通達の扱い)
問:取消訴訟の対象となる「処分性」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政指導は、行政庁が強く要請した場合には必ず処分性が認められる。
2. 行政庁の内部的な通達であっても、私人の権利義務に直接の法的効果を及ぼす場合には処分性が認められる。
3. 行政庁が行う通知は、常に処分性が認められる。
4. 行政指導・通達・通知は、私人に事実上の影響を与える場合にはすべて処分性が認められる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政庁の内部的な通達であっても、 私人の権利義務に直接の法的効果を及ぼす場合には処分性が認められる。 処分性の判断基準は「法的効果の有無」であり、形式ではなく実質で判断される。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法3条(処分性の判断基準)
・行政手続法2条(処分の定義)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
行政指導は、強い要請があっても法的拘束力がない限り処分性は否定される。 (事実上の強制は違法だが、処分性とは別問題)
2:正しい
内部通達でも、実質的に私人の権利義務に影響を与える場合は処分性が認められる(判例)。
3:誤り
通知は形式ではなく、法的効果があるかどうかで処分性が判断される。 単なる事実通知は処分ではない。
4:誤り
事実上の影響だけでは足りない。 必要なのは直接の法的効果。
【判例ポイント】
結論:内部通達でも、私人の権利義務に直接の法的効果を及ぼす場合には処分性が認められる。
理由:処分性は形式ではなく実質で判断されるため。
事案:内部通達が実質的に許可拒否と同様の効果を持つとして処分性が認められた判例。
【第135問】附款の処分性(負担の独立取消性:最判昭和39.10.29)
問:行政行為に付された「附款」の処分性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 附款は行政行為の一部であるため、附款のみを単独で争うことはできない。
2. 負担は行政行為の本体と不可分であり、取消訴訟の対象とはならない。
3. 負担は行政行為の本体と可分であり、負担のみを独立して取消訴訟で争うことができる。
4. 条件・期限・負担のいずれも、附款である以上、取消訴訟の対象にはならない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
附款のうち負担は、行政行為の本体と可分であり、 負担のみを独立して取消訴訟で争うことができる(最判昭和39.10.29)。 負担は追加的義務であり、本体とは別個に私人に不利益を与えるため。
【根拠法令・判例】
・行政法理論(附款の可分性)
・最判昭和39.10.29(負担の独立取消性)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
附款のうち負担は本体と可分であり、単独で争える。
2:誤り
負担は独立取消しが可能(最判昭和39.10.29)。
3:正しい
負担は本体と可分であり、負担のみを取消訴訟で争うことができる。
4:誤り
附款の中でも、負担は取消訴訟の対象となる。 条件・期限は本体と不可分であることが多い。
【判例ポイント】
結論:負担は行政行為の本体と可分であり、独立して取消訴訟の対象となる。
理由:負担は追加的義務であり、本体とは別に私人に不利益を与えるため。
事案:許可に付された負担のみを取消訴訟で争うことが認められた(最判昭和39.10.29)。
【第136問】行政行為の瑕疵の治癒(手続違反の後補正)
問:行政行為の「瑕疵の治癒」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為に手続上の瑕疵がある場合、後から理由を補充しても瑕疵は治癒しない。
2. 行政行為の瑕疵は、常に後からの補正によって治癒する。
3. 行政行為の瑕疵は、手続違反が結果に影響を及ぼさない場合には治癒が認められることがある。
4. 行政行為の瑕疵の治癒は、取消訴訟では主張することができない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政行為の瑕疵は、 手続違反が処分の結論に影響を及ぼさない場合、 判例上、後からの補正によって治癒が認められることがある。 ただし、治癒が認められる範囲は限定的で、重大な手続違反は治癒しない。
【根拠法令・理論】
・行政手続法(不利益処分の手続)
・判例法理(瑕疵の治癒の可否)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
理由提示の欠缺は、後日の理由補充で治癒が認められる場合がある(判例)。 ただし、処分の結論に影響する重大な欠缺は治癒しない。
2:誤り
瑕疵が常に治癒するわけではない。 重大な手続違反(聴聞欠如など)は治癒しない。
3:正しい
手続違反が結論に影響しない場合、 後補正により瑕疵が治癒することがある(判例)。
4:誤り
取消訴訟においても、行政庁は治癒を主張することができる。 裁判所も治癒の可否を判断する。
【判例ポイント】
結論:手続違反が結論に影響しない場合、瑕疵の治癒が認められることがある。
理由:形式的瑕疵により行政行為の効力を否定するのは妥当でない場合があるため。
事案:理由提示の欠缺が後日の補充で治癒したとされた判例。
【第137問】行政行為が当然無効となる典型例(権限欠缺・要件欠缺など)
問:行政行為が「当然無効」とされる典型例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政行為に軽微な手続違反がある場合、当然に無効となる。
2. 行政庁が権限のない事項について行った行政行為は、当然に無効となる。
3. 行政行為が違法である場合は、すべて当然無効となる。
4. 行政行為が不当である場合は、当然無効となる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政行為が当然無効となる典型例は、 行政庁が権限のない事項について行った場合(権限欠缺)である。 これは瑕疵が「重大かつ明白」であり、誰が見ても無効と判断できるため。
【根拠法令・理論】
・行政事件訴訟法36条(無効確認訴訟)
・行政法理論(無効事由:重大かつ明白)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
軽微な手続違反は取消事由にとどまり、当然無効にはならない。
2:正しい
権限のない行政庁が行った処分は、重大かつ明白な瑕疵として当然無効。
3:誤り
違法=無効ではない。 多くの違法は取消しうる瑕疵にとどまる。
4:誤り
不当(裁量の逸脱・濫用)は違法だが、当然無効ではない。
【判例ポイント】
結論:権限のない行政庁が行った処分は当然無効。
理由:行政権限の根拠を欠き、瑕疵が重大かつ明白であるため。
事案:市長に権限がない事項について行われた許可処分が無効とされた判例。
3:誤り
違法=無効ではない。 多くの違法は取消しうる瑕疵にとどまる。
4:誤り
不当(裁量の逸脱・濫用)は違法だが、当然無効ではない。
【判例ポイント】
結論:権限のない行政庁が行った処分は当然無効。
理由:行政権限の根拠を欠き、瑕疵が重大かつ明白であるため。
事案:市長に権限がない事項について行われた許可処分が無効とされた判例。
【第138問】裁量権の逸脱・濫用(取消事由:比例原則・平等原則)
問:行政庁の裁量権行使に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁の裁量判断は、どのような内容であっても司法審査の対象とならない。
2. 行政庁の裁量判断が社会通念に照らして著しく妥当性を欠く場合、裁量権の逸脱・濫用として違法となる。
3. 行政庁の裁量判断は、常に裁判所が最適な判断に置き換えて審査する。
4. 行政庁の裁量判断が不当である場合は、必ず違法となる。
【正解】2
【理由(正しい肢)】
行政庁の裁量判断は、 社会通念に照らして著しく妥当性を欠く場合、 すなわち裁量権の逸脱・濫用として違法となる(行政事件訴訟法30条)。 裁判所は「最適解」を選ぶのではなく、裁量の範囲を逸脱していないかを審査する。
【根拠法令】
・行政事件訴訟法30条(裁量権の逸脱・濫用)
・行政法一般原則(比例原則・平等原則)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
裁量判断も逸脱・濫用があれば司法審査の対象となる。
2:正しい
社会通念に照らして著しく妥当性を欠く場合、 裁量権の逸脱・濫用=違法となる。
3:誤り
裁判所は行政庁の判断を「置き換える」ことはしない。 審査するのは裁量の範囲内かどうか。
4:誤り
「不当」=「違法」ではない。 違法となるのは逸脱・濫用がある場合のみ。
【判例ポイント】
結論:裁量判断は、逸脱・濫用がある場合に限り違法となる。
理由:行政庁の専門性・政策判断を尊重しつつ、権利侵害を防ぐため。
事案:都市計画決定が著しく妥当性を欠くとして裁量権の逸脱・濫用が認められた判例。
【第139問】理由提示の瑕疵(理由附記の欠缺は取消事由)
問:行政庁が不利益処分を行う際の「理由提示の瑕疵」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 理由提示が欠けている場合、行政行為は当然に無効となる。
2. 理由提示が欠けている場合でも、後日理由を補充すれば常に治癒される。
3. 理由提示が欠けている場合、原則として取消事由となる。
4. 理由提示は行政庁の裁量であり、提示しなくても違法とはならない。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法14条は、不利益処分を行う際に理由を具体的に提示する義務を行政庁に課している。 理由提示が欠けている場合、 原則として取消事由(違法)となる。 ただし、後日の補充で治癒が認められる場合もある(判例)。
【根拠法令】
・行政手続法14条(理由の提示)
・行政手続法8条(処分の方式)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
理由提示の欠缺は当然無効ではない。 重大かつ明白な瑕疵ではないため、取消事由にとどまる。
2:誤り
後日の補充で治癒が認められる場合もあるが、常に治癒されるわけではない。 処分の結論に影響する重大な欠缺は治癒しない。
3:正しい
理由提示の欠缺は、原則として取消事由となる。 理由提示は相手方の防御権を保障する重要な手続。
4:誤り
理由提示は行政庁の裁量ではなく、法的義務。 提示しないと違法となる。
【判例ポイント】
結論:理由提示の欠缺は取消事由であり、後日の補充で治癒が認められる場合もある。
理由:理由が示されなければ、相手方は処分の妥当性を判断できず、防御権が侵害されるため。
事案:理由提示の欠缺が違法とされた判例(最判昭和50.10.30)
【第140問】聴聞・弁明の機会付与(行政手続法13〜15条)
問:行政庁が不利益処分を行う際の「聴聞・弁明の機会付与」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 行政庁は、すべての不利益処分について必ず聴聞を行わなければならない。
2. 行政庁は、相手方に意見陳述の機会を与える必要はなく、書面通知のみで足りる。
3. 行政庁は、一定の不利益処分について、聴聞または弁明の機会を与えなければならない。
4. 聴聞は、相手方が希望した場合に限り実施される任意の手続である。
【正解】3
【理由(正しい肢)】
行政手続法13〜15条は、 一定の重大な不利益処分について、聴聞または弁明の機会付与を義務付けている。 すべての処分が対象ではないが、処分の性質に応じて適正手続が求められる。
【根拠法令】
・行政手続法13条(聴聞)
・行政手続法14条(理由の提示)
・行政手続法15条(弁明の機会の付与)
【各肢の解説(肢別式)】
1:誤り
聴聞は重大な不利益処分に限られる。 すべての処分で必要なわけではない。
2:誤り
不利益処分では意見陳述の機会(聴聞または弁明)が必要。 書面通知だけでは足りない。
3:正しい
行政庁は、一定の不利益処分について聴聞または弁明の機会を与える義務がある。
4:誤り
聴聞は相手方の希望による任意手続ではなく、法律上の義務として行われる。
【判例ポイント】
結論:重大な不利益処分では、聴聞・弁明の機会付与が不可欠。
理由:処分の適正と相手方の防御権を確保するため。
事案:聴聞を経ずに行われた営業停止処分が違法とされた判例。


